「定年前に準備しておけば良かったこと」の1位は「年金見込額の試算」
「定年退職」についてのアンケート
不動産業の野村不動産アーバンネットが、定年退職についてシニアに聞いたアンケートを公開しています。
調査対象は、首都圏と関西圏の50代と60代の夫婦2,060人で、インターネット経由で行なわれました。
年金や退職金は確認を
定年退職前の夫に聞いた「定年に向けて、準備をしていること」と、定年退職後の夫に聞いた「定年に向けて、準備しておけばよかったこと」の結果です。
いずれも1位は「年金見込み額の試算」でした。
また、「退職金の金額の確認」は、「準備していること」では4位ですが、「準備しておけばよかったこと」では、2位に入っています。
定年退職後の生活の基盤である、年金と退職金については、早めに確認しておき、資金計画を立てておくべきでしょう。
年金の見込額については「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。退職金の金額については、会社の総務部門に問い合わせて見ましょう。
定年後の時間を有意義に使うための準備が必要
金銭面の次に後悔のタネになっているのは、「新しい趣味を作る」「新しく何かを学び始める(資格取得)などです。
いずれも、事前に準備している人は少ないのですが、準備しておけばよかったことでは上位に入っています。
定年前に比べて自由になる時間が増えるため、時間を持て余さないように「定年後の時間を有意義に使うための選択肢」を用意しておく必要があるようです。
「定年退職」は、夫にはチャンスを、妻には不安を予感させる
「定年退職後の生活についてどのようなイメージを持っていますか」という問いで、30個のキーワードから選択させるという質問では、面白い結果が出ています。
夫はポジティブなキーワードを、妻はネガティブなキーワードを選ぶ率が高いのです。
ポジティブな回答では、夫の回答率が高いのですが、特に定年後の生活に夢を抱かせるようなキーワードに大きな差が出ています。
例えば、「自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう」という回答は、夫では3位に入っているのですが、妻では5位に留まっています。
また、「自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう」という価値王は、夫では6位に入っていますが、妻では10位に留まっています。
ネガティブな回答については、全体的に妻のほうが選ぶ率が高くなっています。
とくに「生活リズムが変化しそう」「漠然とした不安がありそう」という、生活の変化への不安に対する回答率は、夫を大きく上回っています。
つまり、会社という枷(かせ)が外れることにわくわくしている夫と、これまでの生活パターンが変わることに不安をいだいている妻という構図が見て取れます。
妻の不安に寄り添う努力も忘れずに
定年退職は、給与から年金/退職金への収入源の変化という面が重要です。
しかし、それにとどまらず、「毎日会社へ行っていた夫が家庭に帰ってくる」という変化も伴います。
これは、安定していた生活スタイルの変化ですから、妻にとっては不安要因です。
夫も自分の夢を追うことだけではなく、妻がそういう不安をいだきやすい状況であるということを理解し、何かの決断にあたっては事前に相談するなど、会話の機会を増やしましょう。