周囲との会話を増やすことが「孤独死」を遠ざけるコツ
孤独死を身近に感じる条件が分かる調査結果
一人暮らしの人にとって、誰にも看取られることなく、亡くなったあとに発見される「孤独死」は人ごとではありません。
今回は、内閣府が行なった「一人暮らし高齢者に関する意識調査」の中に、孤独死を身近に感じる条件に関する回答があったので紹介しましょう。
これは、2,624人の一人暮らしの高齢者に聞き取り調査を行なった結果です。
一人暮らし高齢者でも、半数以上の人は孤独死を身近に感じていない
回答者全体では、「孤独死をとても身近に感じる」という人は14.5%でした。「まあ身近に感じる」という30.1%の人を合わせると44.5%でした。グラフでは青で示しています。
一方、「孤独死をあまり感じない」30.9%と、「まったく感じない」21.1%を合わせると52.1%です。グラフでは赤で示しています。
ここでは、「孤独死を身近に感じる」人の比率が50%を越えた場合を「孤独死を身近に感じやすい環境」と考えて探していきましょう。
円グラフで青い部分が多い場合は、好ましくない環境と考えてください。
会話が少ないと「孤独死」が身近になる
まず、周囲との会話が少なくなると、孤独死を身近に感じるようになります。
会話の回数が「1月に1~2回」という人は、孤独死を身近に感じる人が60%を超えます。
また、「配偶者と離別経験がある」つまり、離婚して一人暮らしになった人は、男女とも孤独死を身近に感じています。
なお、「未婚」の場合は、男女差があり、「身近に感じる」男性は42.9%なのに対し、女性は53.2%となります。
男性は一度結婚しないと、家族の会話のありがたみがわからないのかもしれません。
なお、子供の有無では、いないほうが孤独死を身近に感じていますが、差は5%ほどしかありません。
分譲マンションに住んでいる人は「孤独死」を身近に感じにくい
次に、「住んでいる住宅」によって、孤独死を身近に感じるかどうかに差がでます。
身近に感じている人が多いのは「木造の集合住宅」や「公営住宅」です。
逆に、感じている人が少ないのは「鉄筋の集合住宅(持ち家)」でした。つまり、分譲マンションですね。マンションでの一人暮らしは、孤立しやすい環境のように感じますが、住んでいる人の不安感は低いようです。
また、「住んでいる場所の都市の規模」で見ると、「町村」に住んでいる人は孤独死を身近に感じている人が少ない傾向があります。町村は、お互いの顔が見えやすく人付き合いが多いせいかもしれません。
「大都市」に住んでいる人のグラフと比べると、かなり差があります。
周囲の人や環境が影響する
意外なことに、「収入の多寡」は、孤独死を身近に感じるかどうかに、ほとんど影響していません。
むしろ、周囲の人との会話の頻度や、住んでいる住宅や都市の規模などが、孤独死を身近に感じるかどうかに影響しているようです。
周囲の人とのつながりを保ちながら生活することが、高齢者の一人暮らしの一番のコツと言えるでしょう。