孤立死の約7割は男性。40代でも孤立死の危機

[2018/6/7 00:00]

東京都内の一人暮らしの者の死因

「孤立死」または「孤独死」という言葉について、公的な定義はありません。

また、公的な定義がないため、1年間にどれぐらいの孤立死があるのかという統計もありません。

ここでは、東京都が設置している東京都監察医務院が公開しているデータを利用しました。

東京都監察医務院は、東京都23区において死因がわからず急に亡くなられた方々や事故などで亡くなられた方々の死因を明らかにすることを目的とする施設です。

監察医務院が公開しているデータには「一人暮らしの者の死因」という項目があり、東京都限定ですが孤立死の状況がある程度把握できます。

一人暮らし死者の約7割が男性

東京都監察医務院は2016年に「12,780人」の案件を扱っています。

そのうち、一人暮らしの死者は「6,109人」でした。

性別では、男性が4,136人、女性は1,973人でした。孤立死の約7割は男性です。

出典:データを基に編集部が作成

男性は60代、女性は85歳以上にピーク

死亡者数を年齢別にグラフにしてみると、男女の違いがはっきりします。

出典:データを基に編集部が作成

男性の死亡者は、常に女性よりも多いのですが、特に40代に入ると、その差が3倍以上に広がります。

男性のピークは「65歳~69歳」で742人、同じ年代の女性は134人ですから、5倍以上の差があります。

男性の死亡原因は、ずっと「病死」が多く、際立って自殺が増えている年代はありません。

つまり、特に自殺を図るような状況になくても、“中高年男性の一人暮らしは、孤立死しやすい”と言えます。

女性は、75歳~79歳から死亡者が増え、85歳以上がピークとなっています。

これは、夫婦二人暮らしだった生活が、夫が先に亡くなり、一人暮らしをしていて孤立死するというような状況が想像されます。

中高年男性は、周囲とのコミュニケーションに留意

今回は一人暮らしの死者数を年代別にグラフ化してみることで、男女の傾向の違いがはっきりしました。

孤立死の約7割は男性であり、しかも比較的若い40代から死亡者が増える傾向にあります。

これだけ男女差が大きいと、孤立死を防ぐ対策も異なります。

男性の場合は、40代から自分の健康状態に気を付けて病死を避けることが重要です。食事や飲酒量などへの配慮が必要でしょう。

また、仕事以外の分野で、何かあったときに相談できる人を探しておきましょう。毎日の仕事と相談する相手がいなくなる定年後に、孤立死が増えています。

女性の場合は、一人暮らしでも70歳までは健康状態が維持できているようです。70代になっても、定期的に相談できる相手を見つけておきましょう。

何日か置きに、定期的に連絡を取り合う仲間が何人かいれば、孤立死を避けられる可能性が高まります。

【お知らせ】この記事は2018年6月7日に内容を更新しました。

[シニアガイド編集部]