「健康」と「お金」が、老後の日常生活の満足度を左右する
70%近い高齢者は日常生活に満足している
国が行なった「高齢者の日常生活に関する意識調査」の中に、「日常生活についての満足度」という問いがあります。
回答は選択式で、「満足している」「まあ満足している」「やや不満である」「不満である」「わからない」の5つの選択肢が用意されています。
つまり、今が幸せで日常生活に満足しているかどうかを尋ねた質問です。
この調査には、全国の60歳以上の男女3,893人が回答していますので、回答者全体の答えをグラフにしてみましょう。
ここでは回答数が少ない「わからない」は表示していません。
緑色で示した部分が「日常生活に満足している人」です。「満足している」と「まあ満足している」の合計は68.3%になります。
同じように青色で示した分が「日常生活に不満を感じている人」です。「やや不満である」と「不満である」の合計は28.8%となります。
つまり、この調査によれば、60歳以上の人の70%近くは「日常生活に満足している」ということになります。
日常生活に満足している人の方が多いというのは、ほっとする結果ですね。
どんなときに人は日常生活に不満を抱くのか
では、回答者はどんな状態のときに、日常生活に不満を抱くのでしょう。
まず、回答者の健康状態によって、どのように回答が変わるのか見てみましょう。
健康状態は「良い」「普通」「悪い」の3段階としています。
グラフを見てみましょう。
健康状態が「良い」場合は、緑色の日常生活に満足している人の方が多いのですが、健康状態が「悪い」と、半数以上の人が日常生活に不満を抱いています。
「健康」は、日常生活に満足して幸せな生活を送るための重要な要素であることがわかります。
収入が増えると、日常生活に満足している人が増える
次に「お金」を見てみましょう。
回答者の月収別に分類して、グラフを作ってみました。
月収が「5万円未満」では、青色で示した日常生活に不満を感じている人が、50%を超えています。
しかし、月収が増えていくと、緑色で示した日常生活に満足している人も、増えていきます。
やはり、一定の月収という「お金」は、日常生活に満足するためには必要な条件のようです。
家計の心配を始めると、日常生活に不満を抱くようになる
しかし、さきほどのグラフを見ると、月収が「80万円以上」でも「日常生活が不満である」という人がいます。
月収の金額が、日常生活への満足感に直結しているわけではありません。
そこで、「月収」ではなく「現在の経済状況」で分類してみました。
これは、自分の生活の経済状況を、「ゆとりがあり、心配なく暮らしている」「ゆとりはないが、心配なく暮らしている」「ゆとりがなく、多少心配である」「家計が苦しく、非常に心配である」の4通りで回答しているものです。
グラフを見てみましょう。
「ゆとりはないが、心配なく暮らしている」では少なかった青色の部分が、「家計が苦しく、非常に心配である」では70%を超えています。
どうも、日常生活に不満を抱く原因は、「お金の心配をする」ことにあるようです。
月収の金額も影響しますが、それ以上に「お金の心配がいらない」という感覚が幸福な生活を送るカギのようです。
老後に向けて、お金の感覚を含めたライフスタイルを見直すことも重要ですね。
持家の方が賃貸よりも日常生活への満足度が高い
最後にもう1つ、グラフを見てみましょう。
これは、住まいの種類と日常生活への満足度の関係です。
グラフをご覧いただくとわかるように、「持家」の人は、「賃貸住宅」の人よりも、日常生活の満足度が高いという結果になっています。
どうして持家の方が満足感が高いのかは、この調査だけではわかりません。
ただ、「持家に住んでいると、日常生活への満足度が高い」という結果は、持家か賃貸か迷ったときの参考になるでしょう。