今回の地震で分かった、保険が地震による被害を補償してくれる範囲
保険は震災をどこまでカバーしてくれるのか
地震などによる被害を受けた場合、頼りになるのは、生命保険や損害保険などの保険による保険金です。
しかし、今回の「平成28年熊本地震」に対する保険会社の対応を見ると、保険に頼れる部分と頼れない部分があることがわかります。
ここでは、生命保険と損害保険について、それぞれ地震などによる天災に対応しているのかを見てみましょう。
なお、この度の平成28年熊本地震により、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
生命保険には天災に対する「免責条項」があるが...。
一般的な生命保険の契約では、「地震、噴火、津波などの天災や、戦争などの紛争による損害は補償の対象としない」という免責条項があります。
つまり、死亡原因が天災や戦争であった場合は、死亡保険金や入院給付金は支払われなかったり、金額が減らされるのが原則です。
ただし、今回の「平成28年熊本地震」では、生命保険会社各社が地震による免責条項等は適用せず、保険金と給付金の全額が支払われることになりました。
これは、2011年の東日本大震災に続いての決定です。
しかし、この決定は、今回の地震では保険料の支払いが一定の範囲で収まり、生命保険会社の存続に影響することはないと判断されたからです。
つまり、大規模な被害が想定されている、「南海トラフ巨大地震」や「首都圏直下地震」では、被害が大きすぎて保険金や給付金が支払われなかったり、減額されたりする可能性があることは覚えておいて良いでしょう。
なお、今回の「平成28年熊本地震」では、生命保険の保険料を6カ月間猶予したり、保険金の支払に必要な書類を省略して自動車運転免許証で身元確認ができるなどの被災者への配慮も行なわれます。
損保の場合は地震保険が主役
損害保険の場合も、原則として地震、噴火、津波による損害は補償の対象となりません。
例えば、火災保険に入っていても、地震による火災の被害は補償されません。
損害保険の場合、地震による被害には専用の「地震保険」が用意されています。
地震保険は、火災保険とセットで加入する保険で、地震・噴火・津波による損害に対して保険金が支払われます。
例えば、次のような損害に対して保険金が出ます。
- 地震により火災が発生し、家が焼失した
- 地震により家が倒壊した
- 地震により家が埋没した
- 津波により家が流された
また、地震保険は、家屋と家財を対象とした保険で、自動車・貴金属・美術品などは補償の対象となりません。
なお、地震・噴火・津波による自動車の損害は車両保険でも補償されません。
地震による自動車への被害に保険を掛ける場合は、損保ジャパンの「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」のように、特約という形で用意されています。必要に応じて検討してください。