NISA口座の主役はシニア層、その投資戦略は
2015年末のNISAの状況
2014年に始まった「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」も、3年目を迎えました。
NISAは、証券会社に専用のNISA口座を開き、その口座で投資を行なうと、株式投資で得た利益に対して税金がかからない優遇制度です。
先日、日本証券業協会が、2015年末の時点でのNISAの現状をまとめました。
その報告書によれば、予想通りに、シニア層がNISA制度を活用している様子がうかがえます。
シニア層の投資戦略も含めて、NISAの現状を見てみましょう。
60代がNISAを活用
まず、年代別のNISA口座の状況を見てみましょう。
資料右側のグラフで、年代別の口座数を見ると、多い順に「60代」「70代」「50代」となっています。
次に、NISA口座の購入額と売却額をグラフにすると、いずれも「60代」が一番多くなっています。
2番めが「70代」、3番目が「50代」なので、口座数と同じ順番です。
つまり、口座数で見ても、購入金額で見ても、NISA口座の利用者はシニア層が中心であることがわかります。
また、右の表にある「購入額に対する売却額の割合」を見ると、50代以上は「20%台」に留まっており、若い年齢層に比べて、売却に慎重な姿勢がうかがえます。
年齢が高くなると「投資信託」が増える
NISA口座で購入した商品について、年代別に見てみましょう。
おおまかな傾向として、40代までは「上場株式」、つまり特定の会社の株に投資している人が多くなっています。いわゆる「個別株投資」です。
年齢が高くなると、「投資信託」の割合が増えてきます。80歳以上では投資信託の割合が50%を超えます。
投資信託は、ファンドとも呼ばれ、投資する株式の銘柄や運用を専門家に任せる方法です。
「投資信託」は保持している人が多い
「上場株式」と「投資信託」では、投資に対する姿勢も異なっています。
「上場株式」は、購入した株式の40.9%が、すでに売却されています。
それに対して「投資信託」は購入した額の8.1%しか売却されていません。
つまり「上場株式」に投資した人は、利益が出る場面では積極的に売却し、利益を確定していると思われます。攻撃的な姿勢と言えます。
投資信託に投資した人は、そのまま保持している人が多く、あまり売却していません。どちらかと言えば、守備的な姿勢と言えます。
年齢によって、投資に対する姿勢が異なり、それが投資する商品の選択にもつながっていることがわかります。