転職経験者は65歳を過ぎても働いている人が多い
65歳以上で働き続けている人の転職経験
「転職経験のある人は、65歳以上になっても働いている率が高い」という調査結果がありました。
これは、国の独立行政法人である「労働政策研究・研修機構」が、中高年齢者の転職と再就職について行なった調査結果の一部です。
調査の回答者のうち、年齢が65 歳以上の人に対して、転職経験の有無と、現在も就業しているかどうかを聞いたところ、転職経験のある人の方が、転職経験がない人よりも、就業している率が高くなっていたというのです。
男女別に、もう少し詳しく見てみましょう。
男性は、転職した時の年齢が高いほど、65歳以上で働いている率が高い
男性の場合、転職経験がある人は、就業している率は37.6%で、そこから自営業を除いた雇用率は24.7%でした。
それに対して、転職経験がない人は、就業率が26.5%、雇用率は11.0%と低くなっています。
また、転職の時期別にみると、転職したときの年齢が高いほど雇用率が高くなっています。
例えば、転職経験があっても、それが「54歳以下」の場合は、就業率も雇用率も「転職経験なし」と変わりません。
転職した時期が「55~59歳」では、就業率と雇用率が高くなります。
転職時期が「60~64歳」になると、就業率は49.1%と高く、雇用率も45.5%となります。
なんと、ほぼ半数の人が、65歳以上になっても働き続けているわけです。
転職経験がある女性は、65歳以上でも31.5%が働いている
女性の場合、転職経験のある人の就業率は31.5%で、雇用率は26.8%でした。
それに対して、転職経験のない人の就業率は19.2%、雇用率は14.4%に留まっています。
ただし、男性で見られた、「転職時の年齢が高いほど就業率と雇用率が高い」という傾向は見られません。
報告書では次のようにコメントされています。
女性については専業主婦等で家庭に留まる人も一定数含まれているため、転職経験の有無が65歳以降の就業に及ぼす影響を男性ほど正確に見ることはできない
転職は自分と労働との関係について改めて問い直される機会
今回の調査では「転職経験者は、65歳以上になっても働き続けている人が多いという傾向がある」ということに留まっており、どのような理由によるのかということはわかっていません。
ここからは推測になりますが、「転職時の年齢が高いほど、65歳以上の就業率と雇用率が高い」という傾向には、次のような理由が考えられるのではないでしょうか。
- 定年が間近になった時期での転職なので、65歳を過ぎても働き続けられる職場を選んでいる
- 前の職場を辞めたときに退職金が出ているので、次に仕事を辞めても大きな金額の退職金が入る当てがなく、働き続けている
また、転職は自分と労働との関係について改めて問い直される機会です。
転職の際にいろいろ考えた末に、自分が選んだ職場で、できるだけ長く働き続けようとするのは自然なことなのかもしれません。