生命保険で元が取れると思っている人は7.2%。なのに、どうして契約するのか

[2016/5/18 01:07]

主婦は生命保険について、どのように考えているか

サンケイリビング新聞社と、保険相談サービスの保険のビュッフェが共同で、「主婦の生命保険に関する意識調査」を行ない、結果を公開しています。

このアンケートが面白いのは、インターネットによる回答者を女性に限定していることで、最終的に685人の女性が回答しています。

回答者の平均年齢は44.9歳、既婚率83.9%で、「主婦の生命保険に関する意識調査」という表題にふさわしいプロフィールとなっています。

回答者の生命保険との関係を見ると、自分自身の生命保険加入率は88.9%ですが、家族の生命保険加入率は95.3%と高率です。

生命保険についての質問と回答を箇条書きしてみましょう。

  • 「保険を比較検討したことがありますか」で、「はい」の人は44.5%
  • 「保険料の支払額総額が、数百万円から数千万円になることを知っている」人は67.2%
  • 「契約した保険の内容をよく分かっている」人は37.9%
  • 「生命保険で元がとれると思っている」という人は7.2%
  • 「同じ保障内容で保険料が安くなるなら見直したい」という人は62.9%
  • 「保険について気軽に相談できる人がいる」に「はい」と答えた人は33.7%

つまり、生命保険については、「最終的に高い出費になるとは意識している」ものの、「ほとんどの人が元が取れるとは思っていない」というわけです。

では、どうして、ほとんどの人が生命保険に加入しているのか考えてみましょう。

アンケート結果まとめ

人間の金銭感覚は大きな買い物では狂いやすい

まず、思い出されるのが、保険の契約や住宅の購入などの大きな金額の買い物をする際によく言われる、「人間の金銭感覚は狂いやすい」という注意事項です。

普段の買い物では、数円や数十円単位でも気になるのに、総額が数百万円や数千万円になる大きな金額の買い物の際には、十万円の違いでも気にならなくなります。

ある説によれば、人間の金銭感覚は、絶対的な金額ではなく、総額に対する割合で捉えてしまいがちなのだと言います。

例えば、10円の商品を買うときに、1円違ったら、10%の違いです。

しかし、総額が1千万円の保険契約をする際には、10万円違っていても、1%の違いでしかありません。

なので、それぐらいの違いはたいしたものではないと感じてしまい、比較検討もせずに購入してしまうのです。

生命保険について比較検討をせずに、大きな契約をしてしまうのは、これが理由なのかもしれません。

生命保険は「商品」か「安心をもたらす契約」か

また、別の説として、生命保険を商品として捉えていないのではないかという説があります。

生命保険の契約を交わすということは、保険料という金銭を支払うことで、保険金という支払いを受けるという契約を購入することです。つまり、生命保険も「商品」なのです。

しかし、生命保険を「商品」と呼び、生命保険を「買う」という言い方をすると、抵抗を覚える方が少なくありません。

そういう方々は、生命保険は商品ではなく「契約」と感じているようです。そして、最終的には金銭ではなく、契約を結ぶことによって得られる「安心感」を求めているのです。

他の商品の例で言えば、自宅が単なる住居ではなく、家族が安らぐ場所というイメージのある「マイホーム」であることに似ています。

また、男性にとって自動車が単なる移動手段ではなく「自分の能力を広げてくれるパートナー」であることにも通じるかもしれません。

いずれも、商品そのものの価値よりも、その商品を購入することによって手に入る「気持ち」や「イメージ」が重要なのです。

この説に従うと、自分の家計に対して支払いに無理があるような大きな生命保険を契約してしまう理由もわかります。たとえ、日々の生活が苦しくなるとわかっていても、大きな安心感を求めてしまいやすいのです。

また、実際には使われることの少ない「特約」に、つい加入してしまう理由もわかります。特約を追加することによって、契約は、より万能なものとなり安心感が増すのです。

日常的なお買い物と同じように「毎月いくらかかるのか」考えよう

ここで紹介した2つの説に従えば、生命保険に加入するときには、2つの注意が必要です。

まず、契約を結ぶ際は、「毎月いくらかかるのか」と「最終的に総額がいくらになるのか」をチェックしましょう。それぐらい具体的な金額が出ていれば、自分の日常的な金銭感覚が働いて、冷静に判断しやすくなります。

また、少しむずかしいかもしれませんが、万一の際に必要なお金を準備するための1つの「商品」として考えてみましょう。

そうすれば、日常的なお買い物と同じように、冷静に考えやすくなります。

お買い物の1つと思えば、他の商品と比較したりすることに、気がとがめることもなくなります。

[シニアガイド編集部]