高齢者世帯の貯蓄の平均が、2千万円以上ってホント!?
【お知らせ】この記事は2017年5月16日に内容を更新しました。
高齢者世帯の平均貯蓄額は2千万円以上
「世帯主が60歳以上の高齢者世帯では、現在の貯蓄額の平均が2千万円」以上もあるというレポートが発表されています。
このデータは総務省統計局の家計調査によるもので、政府が政策を決めるための基本データの1つです。
しかし、庶民の感覚からすると「そんなに貯蓄があるはずがない」というのが実感ではないでしょうか。
いったい、どうしてこんな数字が出てくるのでしょう。
少数の大金持ちが平均を押し上げる
2人以上の高齢者世帯の貯蓄をグラフにすると、「100万円未満」が一番多く全体の7.4%を占めます。
全体の傾向として、貯蓄の残高が大きくなるほど、世帯数は減っていきます。
グラフにすると、貯蓄が少ない左側の方が世帯数が多く、貯蓄が多い右側になるほど世帯数が少なくなっています。
このグラフの形から「すごくお金をもっている一部の世帯が、平均値を押し上げている」のではないかと想像されます。
実際に、貯蓄の残高は「2,385万円」ですが、残高が2,500万円以上ある人は、全体の33.4%しかいません。
平均値より少ない人が、全体の3分の2と多く、平均値より多い人は全体の3分の1しかいないのです。
中央値で見ると「1,592万円」
ある集団の全体の傾向を見るときに、「平均値」以外にも、「中央値」という指標があります。
今回の貯蓄額のように、差が大きい集団の傾向を見るときには、平均値だけでなく中央値も見る必要があります。
この場合の中央値は、貯蓄が「0(ゼロ)」の世帯を除き、貯蓄が少ない順から順番に並べたときに、中央にいる世帯の残高です。
つまり、貯蓄がある人の真ん中にあたる世帯が中央値で、この場合は「1,567万円」の貯蓄を持っています。
1,567万円でも大きな金額ですが、平均値の「2,385万円」に比べると、多少は庶民の実感に近いと言えるでしょう。
階級別では「400万円以上2,500万円未満」の世帯が主流
今度は、高齢者世帯を貯蓄額によって、3つの階級に分けてみましょう。
すると、「400万円未満」の世帯は18.6%、「400万円以上2,500万円未満」の世帯は47.6%、「2,500万円以上」の世帯は33.8%でした。
「400万円以上2,500万円未満」の世帯が主流ですが、「2,500万円以上」の世帯も、全体の3分の1に達しています。
また、高齢者世帯は、一般世帯と比べても「2,500万円以上」の貯蓄がある世帯の比率が高いことがわかります。
お金の行き先は「定期預金」
では、高齢者世帯は、どのような形で貯蓄を持っているのでしょう。
一番多いのは「定期預金」で45.6%と、ほぼ半分を占めます。
次は「普通預金」で19.5%。以下、「有価証券」が17.1%、「生命保険」が17.3%です。
現時点では、定期預金の金利は極めて低く、お金を預けておいても増えることは期待できません。しかし、いまだにお金を預ける先としては大きなな存在なのです。
また、「定期預金」と「普通預金」を合わせると、その割合は65%に達します。
高齢者世帯のお金の蓄え方は、依然として、銀行への預金が主流であることが分かります。
やはり、お金が多少増える可能性がる投資よりも、元本が確実である預金の方が好まれるのでしょう。