1世帯当たりの金融資産は「1,078万円」だが、3割以上の世帯はまったく持っていない

[2016/11/7 00:00]

預貯金などの金融商品に関する信頼度の高い調査

金融広報中央委員会が、毎年行なっている「家計の金融行動に関する世論調査」の結果が公開されました。

ここで言う「金融資産」とは、預貯金などの金融商品を指します。現金、土地、住宅、貴金属は含みません。また、日常的な出し入れや引落しに備えている預貯金も除いています。

この世論調査は全国の3,497世帯が回答しています。

結果の信頼度は高く、日銀や政府機関の基礎データとしても、よく使われる調査です。

さっそく、結果を見てみましょう。

金融資産が、まったくない世帯も30%以上ある

各世帯の金融資産の平均値は「1,078万円」でした。資産が大きい世帯があるため、平均値を押し上げています。

そのため、金額の低い世帯から高い世帯へと順に並べ,ちょうど中央に当たる中央値でみると、1世帯の金融資産は「400万円」になります。

金融資産については、持っている世帯と、持っていない世帯の両極端に分かれています。

「金融資産を保有していない」世帯は30.9%あり、さらに「銀行や証券会社の口座に残高がない」世帯すら13.0%あります。

実際に金融資産を持っている世帯に限って集計すると、平均値は「1,615万円」、中央値は「950万円」となり、全世帯の平均よりも、ずっと大きくなります。

金融資産の半分以上は「預貯金」

保有している金融商品別の構成を見ると、「預貯金」が55%と過半数を占めています。

2位は「生命保険」、3位は「株式」です。

持っている金融資産の構成比。預貯金が半数以上を占める

保有している金融資産を金額ベースで見ると、「預貯金」が513万円、「生命保険」が284万円、「株式」が149万円でした。
いろいろな金融資産を合わせると、だいたい1千万円前後になります。

持っている金融資産の金額

借金のほとんどは住宅ローン

預金に代表される金融資産がある一方で、「借入金」(借金)がある世帯も珍しくありません。

借入金のある世帯の割合は、全体の「38.6%」でした。

借入金の平均金額は「497万円」ですが、借入金がある世帯に限定すると平均は「1,381万円」となります。

借入金の目的の大半は住宅ローンで、残高の金額でも1,381万円のうち「1,324万円」を占めます。

2位は「自動車などの耐久消費財の購入」でした。

借入金の目的。住宅ローンが中心

世帯による差が大きい

金融資産については、大きな資産を持っている世帯と、まったく資産を持っていないとの差が大きいのが特徴です。

こういう状況で、どの数字を目標にするかは難しいのです、金額は小さくても良いので「金融資産を保有していない」から、「保有している」へ変わることを考えるべきでしょう。

また、借入金については、住宅ローンがほとんどを占めていますが、ごく一部ですが「不動産などの実物資産」や「株式などの金融資産」のために借金をしている人もいます。

投資について、どのようにリスクを取るのかは、個人の考え方によります。しかし、投資の結果が思わしくなかった場合のことを考えれば、借入金での投資は避けるべきでしょう。

「増やす」ことも大事ですが、基本は「稼ぐ」と「貯める」です。

まずは、「預貯金」で良いので、手持ちの金融資産を少しでも大きくすることから始めましょう。

[シニアガイド編集部]