50歳未満でお金が無い時の国民年金保険料は「納付猶予」にしよう

[2016/6/20 00:29]

7月1日の制度改正で対象年齢が広がる

経済的な理由で、国民年金の保険料を納めることが難しい場合に利用できる制度として「国民年金保険料の免除」と「国民年金保険料の納付猶予(のうふゆうよ)」があります。

2016年7月1日から、「納付猶予」の対象年齢が、30歳未満から50歳未満へ拡大されます。

これまでこの制度は「若年者納付猶予制度」と呼ばれてきましたが、対象が若年者以外にも広がりました。

これにより、30歳以上50歳未満の年収が少ない人が、国民年金の保険料を払えないときに、「納付猶予」を申請することができるようになったのです。

国民年金を「未納」にしていると請求が止まらない

国民年金保険料を未納にしていると、次のような障害が発生します。

  • 保険料の請求書が送付されてくるなどの取り立てが行なわれる
  • 「障害年金」や「遺族年金」を貰う資格が満たされていないため、万が一の際にこれらの年金が貰えない

未納の状態が続いていると、送られてくる国民年金保険料の請求書の数字が、だんだん大きくなり、精神的に追いつめられてしまうほどの圧迫を感じます。

以前と異なり、取り立ても厳しくなっており、最終的には差し押さえなどの手段がとられることもあります。

請求書が来なくなるだけでも、納付猶予の手続きをする価値はあります。

「納付猶予」にすると障害年金や遺族年金をもらう資格ができる

「納付猶予」の手続の特徴と利点は次のとおりです。

  • 対象となるのは自分の収入だけで、世帯主の収入が高くても関係ない。(免除の場合は世帯主も含みます)
  • 対象となるのは、収入が「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」以下の場合、つまり単身者なら57万円、結婚していたら92万円以内なら申請できる。
  • 猶予期間は年金を受け取るために必要な受給資格期間(現在25年間)に入る。
  • 未納ではないので、万一の時に、障害年金などが貰える。
  • 保険料の納付期限から2年を経過していない分も、さかのぼって免除が申請できる。
  • 書類はダウンロードでき、手続きは市区町村の窓口へ郵送すれば終わる。
  • 申し込みにあたって収入を証明する書類の添付は必要ないが、年末調整か確定申告をしていないときは、市区町村民税の申告が必要になる。
  • 猶予された保険料は、10年以内ならあとで払うことができる。
  • 平成26年度末(2015年3月)の時点で、44万人が利用している。

「納付猶予」は、保険料の支払いを待ってくれるだけなので、“猶予期間中は、将来の年金額は増えません”。

しかし、請求書は送ってこなくなりますし、万が一の際に障害年金や遺族年金を貰う資格ができます。

『単身者なら57万円、結婚していたら92万円以内』という所得制限に該当するのであれば、絶対に申請した方が有利です。

こういう制度を利用することを恥ずかしがる人もいますが、44万人もの人が利用している制度ですから、ぜひ気後れせずに手続きをしてください。

[シニアガイド編集部]