社会保障で使われているお金は、国民1人当たり88万円
日本は、福祉にどれぐらいお金を使っているか
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、医療や年金などの「社会保障給付費」の統計を発表しています。
「社会保障給付費」は、年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護など、社会保障制度に関する1年間の支出を、ILO(国際労働機関)の基準に沿って集計したものです。
これを見ると、日本の社会保障制度の規模と変化の様子が分かります。
1人当たりの社会保障給付費は約88万円
最新である2014年度の社会保障給付費(ILO基準)の総額は「112兆1,020億円」でした。前年に比べて、1.3%増加しています。
日本のGDP(国民総生産)に占める割合は23.87%にあたり、前年度より0.06%縮小しました。
なお、1人当たりの社会保障給付費は「88万2,100円」です。
社会保障給付費の分類
社会保障給付費は、「医療」「年金」「福祉その他」に分類されます。
3分野の占める割合は、年金がほぼ5割、医療が3割、福祉その他が2割を占めます。
各分野の支出は急激に伸びている
社会保障給付費の支出は、人口の高齢化に伴い、急激に伸びています。
総額で見ると、1990年には「47兆4,153億円」だったものが、2014年には「112兆1,020億円」と、2.3倍になりました。
分野別で見ても、各分野とも、ほぼ毎年増加し続けています。
自己負担の増加や、給付額の低下を想定しておこう
2014年度の社会保障給付費は、全体では1.3%増加しましたが、「年金」だけは0.5%縮小しています。
これは、厚生年金の支給開始年齢引き上げが始まったことや、本来の金額よりも支給額が増える「特例水準の解消」などによるものです。
社会保障の財源は、私達が支払っている「健康保険料」や「年金保険料」、税金からの「公費負担」などです。
これらの財源に限りがあり、さらに、少子高齢化によって縮小する可能性が高い現状では、年金以外の社会保障についても抑制策が必要になることが確実です。
年金や健康保険などについては、現在よりも自己負担が増えたり、給付額が少なくなることを前提にして、将来の生活に備えましょう。