60代の収入は、65歳を境に大きく変わる
実際の家計簿を基にした調査
現在の定年は「60歳」から「65歳」で設定されていることが多く、60代には収入面で大きな変化が待っています。
全国の生協を束ねている日本生協連が行なった家計調査を見ると、その実態がよく分かります。
この家計調査は、各家庭の家計簿を月単位で提出してもらい、1年間を通じて継続して提出した家庭を対象としています。
2015年は1,524世帯が対象となりました。
ここでは、世帯主が60代の家計に絞って内容を紹介しましょう。
65歳を境に収入が大きく変わる
まず、世帯主が「60~64歳」の場合、「就労による収入」が収入全体の68.2%を占めています。
「年金収入」は10.0%です。
一方、世帯主が「65~69」歳の場合、「就労による収入」は30.1%に減ります。
そして「年金収入」が51.2%と半分以上を占めるようになります。
つまり、65歳を境にして、収入の柱が「就労」から「年金」へと変わります。
なお、10年前の2006年の調査では、世帯主が「65~69歳」の場合は「就労による収入」は18.0%で、現在の6割ほどでした。この10年間で、65歳を過ぎても仕事を続けている人が増えていることが分かります。
収入の変化が支出にも影響する
一方、支出を見ると、世帯主が65~69歳の世帯は、60~64歳の世帯と比べて、家賃・地代、被服費、教育費、職業・主婦費、自動車関係費が30%以上小さくなっています。
つまり、年金収入が柱になることによって収入が減少し、いろいろな支出が少なくなることが分かります。
なお、「交際費」だけは別で、世帯主年齢が上がるほど支出が多くなります。
世帯主の職種からも、65歳が境であることが分かる
家計調査の別の項目からも、65歳が大きな変化の時期であることが分かります。
「世帯主の職種」を見ると、「60~64歳」は「会社員」が半数を超え、「無職」は15%に留まっています。
「65歳以上」で見ると、「無職」が80%を超え、「会社員」は6.2%に留まります。
会社員や公務員の場合、65歳を過ぎると働き続けることが難しいことがわかります。