希望する従業員が全員65歳まで働ける企業は72.5%
何歳まで働くか、働けるか
年金の受給開始年齢が65歳を基準に引き上げられつつある現状では、「何歳まで働くか」というのは、老後の生活に影響する大きな選択となっています。
現在、企業には「高年齢者雇用確保措置」という名前で、65 歳までの安定した雇用を確保するために「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかを行なうことが義務付けられています。
厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」という調査によれば、高年齢者雇用確保措置を実施している企業は99%を超えており、ほとんどの企業で、高齢者を雇用する制度が導入されています。
では、実際に「65歳」や「70歳」まで働きたいと希望したときに、その年齢まで働ける企業は、全体のどれぐらいなのでしょう。
厚労省の調査結果とグラフをもとに見ていきましょう。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業は72.5%
厚労省が調査した約15万社のうち、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は「72.5%」でした。
従業員数が31人~300人の「中小企業」に限ると「74.8%」と少し高くなります。
従業員数が301人以上の「大企業」では「52.7%」でした。
「基準に該当しない」を理由に継続雇用されない人は50人に1人
「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」で、大企業の比率が低いのは、2025年3月31日まで適用可能な経過措置によって、「希望者全員」ではなく、「基準該当者」のみを継続雇用する制度を導入している企業が多いためです。
所属している会社が経過措置を適用している場合、希望者全員が雇用されるのではなく、基準に該当するかどうかで選別されます。
では、実際に「経過措置」を適用している企業では、どれぐらいの希望者が継続雇用されないのでしょうか。
調査によれば、なんらかの理由で「基準に該当しない」ため継続雇用されなかった人は「1.9%」でした。
継続雇用されないのは、希望者のうち50人に1人と思えば良いでしょう。
自分から継続雇用希望しない人は「17.7%」
希望しても継続雇用されない人がいる一方で、自分から継続雇用を希望しないという人もいます。
60歳定年制の会社で、実際に定年退職者の動向を見たデータがあります。
一番多いのは「継続雇用」で82.1%、そして「継続雇用を希望しない」人は「17.7%」でした。
60歳定年を機会にして、会社を離れる決断をする人は、5人に1人ぐらいの割合です。
70歳以上まで働ける企業は「20.1%」
最後に、65歳ではなく、70歳以上まで働ける企業を見てみましょう。
70歳以上まで働ける企業は、全体の「20.1%」です。
この年齢まで働ける企業は、かなり少なく、全体の5分の1しかありません。しかも、65歳までと異なり、希望者全員が働けるわけではありません。
70歳以上まで会社に所属して働き続けるのは、かなり険しい道のりであると言えるでしょう。