継続雇用されると「給与」が下がり「雇用形態」も変わる
高齢者の継続雇用の現状を知るアンケート
2013年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行されて約3年が経過しました。
現在、高齢者雇用に対する制度は、どのように運営されているのでしょう。
人材採用会社のエン・ジャパンが、「高齢者雇用」についてアンケートを行った結果を公開しています。
このアンケートはインターネット上で行なわれ、エン・ジャパンを利用している438社の人事担当者が回答しています。
74%の企業が「継続雇用制度」を導入
改正高齢者雇用安定法では、企業に3つの選択肢があります。
- 定年の引き上げ
- 定年の廃止
- 継続雇用制度の導入
アンケートによれば、「継続雇用制度の導入」が74%、「定年の引き上げ」が9%、「定年の廃止」が2%でした。
ほとんどの企業が、定年の廃止や延長ではなく、継続雇用制度の導入を選択しています。
継続雇用後は「給与」と「雇用形態」が変わる
では、継続雇用制度とは具体的に、どのような内容なのでしょう。
アンケートによれば、「給与の変更」が84%、「雇用形態の変更」が75%でした。
つまり、契約社員などの形で雇用され、給与が下がるわけです。
「給与」は定年時の「61%~80%」が目安
実際に、定年時の給与に比べて、何%ぐらいの給与となるのでしょう。
アンケートによれば、「80~61%」が44%、「100~81%」と「60~41%」がそれぞれ25%でした。
つまり、「80~61%」が目安で、運が良ければ定年時と同じだけもらえますが、運が悪ければ定年時の40%になる可能性も多いわけです。
知恵や技術の伝承を重視
高齢者を雇用する目的は「経験や知識の活用」が74%、「スキルやノウハウの伝承」が56%、「高齢者雇用安定法の順守」が43%でした。
法律の遵守よりも、知恵や技術の伝承の方が上位となっています。
世代交代の停滞が課題
高齢者が継続雇用されることによって、課題も生じます。
「世代交代の停滞」が43%、「高齢者の戦力化やモチベーション」が42%、「処遇や評価の難しさ」が39%となってます。
「高齢者が若手に教えず自分自身で仕事をしてしまう」「これまでのやり方に捉われてしまい、仕事の改革ができない」などのコメントもあり、いずれも人の心が絡むだけに解決が難しい問題です。
今後は「状況を見て対応」
今後の高年齢者雇用の方針として多いのは、「状況を見て対応を検討する」が42%で、「法定義務の範囲で対応する」の40%を上回りました。
まだ、制度の変更などが予想されるだけに、しばらくは様子を見ながら運営していくという状態であることがうかがえます。