遠距離介護に使える、航空会社の「介護割引」
遠距離介護の障害となる「交通費」を抑える
遠く離れた実家で暮らす「親」が、介護が必要な状態になると、遠距離介護を迫られる場合があります。
遠距離介護は、体力や精神への負担が大きいのですが、もう1つ「交通費」による金銭面での負担も見逃せません。
実際に、遠距離介護の状態になると、介護保険の認定を受けて、ケアプランが固まって、通う施設が決まるなどの具体的な体制ができ上がるまで、何度も通う必要があります。
帰省を繰り返した場合に、交通費による支出が、じわじわと家計にのしかかってきます。遠距離介護は長期戦になることが多く、毎回の帰省に伴う支出はできるだけ抑える必要があります。
介護の体制が安定したあとでも、病気や事故による入院などで、急な帰省を迫られる必要が出てきます。
国内の航空運賃は、「旅割」などの事前予約割引などを利用すると安くなりますが、遠距離介護では、急に帰省が決まることが多いので、事前予約割引が使えません。
これらの事情にかんがみて、一部の航空会社では、遠距離介護をする人のために専用の「介護割引」が用意されています。
この記事では、2016年9月現在で「介護割引」の制度を用意している、4つの航空会社について紹介しましょう。
介護割引の制限と必要な手続き
「介護割引」では、一般に、次のような制限があります。
- 「介護する人」と「介護される人」の居住地の最寄り空港を結ぶ一路線に限定して使える
- 介護する人は「二親等以内の親族」などに限られる
- 介護される人は、介護保険の「要介護・要支援被認定者」でなければならない
- 上記の条件を証明するための書類を提出し、情報をカードに登録したり、専用パスの発行を受けておく必要がある
なお、手続きに必要な書類は、基本的には郵送で送ります。また、登録やパスの発行などの手続きにも時間がかかります。
そのため、「介護割引」は使おうと思った当日に、すぐに使えるものではありません。
遠距離介護が決まったら、すぐに書類を準備して、手続きを済ませておきましょう。
手続きの詳細については、リンク先の各航空会社のWebサイトを参照してください。
全日空「介護割引」
https://www.ana.co.jp/book-plan/fare/domestic/guide/detail.html?c=kt
- 「介護割引情報登録」が済まされているANAマイレージクラブカードが必要
- 「ピーク期」と「通常期」では、割引率が異なる
- 手続きを説明した専用パンフレットがPDFファイルで用意されており、わかりやすい
日本航空「介護帰省割引」
https://www.jal.co.jp/dom/fare/rule/r_kaigo.html
- 介護帰省割引の情報登録済みのJALカード、またはJALマイレージバンク(JMB)カードが必要
- 上級席の「クラスJ」も予約ができる
ソラシドエア「介護特別割引」
https://www.solaseedair.jp/fare/price/nursing.html
- 「ソラシド介護事務局」に郵送で申し込んだ「介護割引パス」が必要
- インターネット予約も可能
スターフライヤー「介護割引運賃」
http://www.starflyer.jp/fare/fare_list/nursing.html
- 航空券購入および搭乗手続き時に、あらかじめ郵送で取得した「介護割引パス」が必要
- インターネットからの予約/購入はできない
介護割引の値引率
「介護割引」の値引率は、航空会社やシーズンによって異なります。
全日空を例に挙げると、「普通料金」はもちろん「往復運賃」や「特割」よりも安く設定されています。
ただし、事前予約割引である「旅割」よりは高いので、航空券の予約時に、必ず確認しましょう。
それでも、「旅割」が使えない緊急の帰省の場合では、「介護割引」は大変ありがたい存在です。
「介護割引」は、事前に情報登録などの手続きが必要で、一手間かかります。早めに手続きを済ませて、いつでも使えるようにしておきましょう。