老後の最低日常生活費は月額「22万円」。ゆとりある生活なら「35万円」
公益財団法人の生命保険文化センターが「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」を公開しています。
この調査は、病気やケガを始めとする生活の不安に対して、どのような備えをしているかを中心にまとめられたレポートです。
調査対象は、全国の18歳から69歳の男女で、有効サンプル数は4,056人。
調査対象を層化2段階無作為抽出で選定し、面接で聞き取りをしています。
回答者が偏る可能性があるインターネットアンケートに比べて、精度の高い調査です。
今回は、このレポートから「老後」に対する不安と保障についての調査結果を紹介します。
データの出典は上記のレポートに依ります。グラフについては、レポートの数字を基に編集部で作成しました。
老後生活に対して不安を感じている人は8割以上
自分自身の老後生活について、「不安感あり」という回答は85.7%に達しています。
実に、8割以上の人が老後生活に対する不安を抱えています。
「不安感なし」という回答は12.8%でした。
老後の不安は金銭的問題が多い
老後の不安の内容をみると、「公的年金だけでは不十分」が80.9%と最も高くなっています。
以下、「日常生活に支障が出る」「自助努力による準備が不足する」「退職金や企業年金だけでは不十分」が続きます。
金銭的な問題に関する項目が上位に入っています。
老後生活は「つつましい生活」
自分の老後生活がそれまでの生活と比較して、経済的にどのように変化すると考えているかを聞いています。
「つつましい生活」が70.1%と多く、「同じ程度の生活」が20%で続きます。
「経済的に豊かな生活」という回答は2.1%と少数に留まっています。
老後の最低日常生活費は22万円
夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている「最低日常生活費」をみると、平均額は月額で「22.0万円」でした。
分布をみると、「20~25万円未満」が31.5%と一番多い回答でした。
以下「30~40万円未満」「25 ~30万円未満」の順となっています。
ゆとりある老後生活費は約35万円
夫婦2人で経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用である「ゆとりある老後生活費」の平均は月額で「34.9万円」でした。
「30~35万円未満」という回答が21.8%で一番多いのですが、「50万円以上」という人も13.5%います。
自分の老後資金は準備できていない
自分の老後のための私的な経済的準備に、公的年金や企業年金などを加えた、老後資金の充足感を聞いています。
「充足感なし」が71.0%と多く、老後に対して準備が足りないと考えている人が多いことがわかります。
「充足感あり」という回答は21.9%でした。
老後資金の柱は「公的年金」と「預貯金」
自分の老後の生活資金について、これから準備するものも含めて、どのような手段でまかなっていこうと考えているのかを聞いています。
一番多いのは「公的年金」で87.5%でした。不安があるとはいえ、頼らざるをえないということでしょうか。
2位の「預貯金」(70.4%)も支持が多く、この2つが老後の生活資金の柱と考える人が多いようです。
以下、「企業年金・退職金」と「個人年金保険」が続きます。
年金以外の準備を始めよう
今回の調査では、老後に対して、経済的な不安をいだいている人が多いことがわかりました。
また、自分の老後に対しては「つつましい生活」を想定している人が多数派です。
老後において夫婦二人が最低限の生活を送れる「最低日常生活費」は月額で「22.0万円」という回答でした。
これは、夫が厚生年金に加入している専業主婦家庭を想定した「モデル年金」とほぼ同じですから、公的年金だけまかなうことは不可能ではありません。
しかし、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用である「ゆとりある老後生活費」になると、月額で「34.9万円」と回答されています。
この場合は、夫婦が両方とも厚生年金に加入しているか、企業年金や預貯金、年金保険などの手段で補わないと届かない金額です。
老後に対して準備ができていないと回答している人は7割以上に上ります。少額でも良いので、少しずつ準備を始めましょう。