開始から2カ月経ったジュニアNISAの現状
「ジュニアNISA」最初の実績
2016年4月に始まった「ジュニアNISA」の最初の実績レポートが公開されています。
今回、日本証券業協会が公開したのは、2016年6月末日現在のジュニアNISAの状況をまとめたものです。
ジュニアNISAは、簡単に言うと「親や祖父母が、子供が18歳になったときの教育費を作るために、毎年80万円まで、5年間で400万円を上限として、無税で株式に投資できる制度」です。
証券会社などに子供の名義でジュニアNISAの口座を作って投資しますが、投資期間中に得られた利益については無税となります。通常の株式投資では、利益に対して20%の税金がかかりますから、それが無税なのは大きな違いです。
また、口座の名義人がお金を出す人ではなく、お金を使う「子供」の名義になっている点が特徴です。
今回のレポートでは、名義人となっている子供の年齢について面白い傾向がわかりました。
1万7千人が投資開始、平均金額は41万円
6月現在のジュニアNISAの勘定口座数は「61,513」でした。
しかし、これは「口座を開いた」というだけで、実際に稼働している口座数は「17,802」です。
稼働率は「28.9%」でした。
株式の購入金額は「74.4億円」で、1口座当たりの平均金額は「418,210円」でした。
ジュニアNISAは、1年に80万円まで投資できますが、その半分ぐらいまでに留まっています。
また、毎月一定の金額で投資する「積立投資契約口座」の口座数は「4,310」、購入額は「1億8,647万円」に留まっています。
投資が多いのは13~17歳、積立は1~5歳
ジュニアNISAの口座名義は「0~19歳の未成年者」に限定されています。
実際には、投資をする人ではなく、その人の子や孫などの名義となるわけです。
名義人の年齢は、かなり分散していますが、特に「13~17歳」が多くなっています。
子供が中学校から高校生の時期で、大学への進学が現実味を帯びてきて準備を始める時期なのでしょう。
面白いことに、「積立投資口座」の方では、かなり傾向が異なっています。
一番口座が多いのは「1~5歳」と名義人の年齢が低くなっています。
そして、年齢が高くなるほど口座数が少なくなっています。
積立投資口座は、子供が幼い時期から、少しずつ投資をして将来に備えるために使われるので、名義人の年齢が低いのでしょう。
教育費を作るための選択肢として周知が必要
2年間先行した「NISA」の口座数が「612万口座」、購入金額が「5兆2千億円」、口座の稼働率が「59.1%」に達しているのに比べると、ジュニアNISAの口座数も投資金額も、まだまだ少ない状況です。
特に、毎月一定の金額で投資する「積立投資契約口座」の普及はこれからという状態です。始まったばかりの制度なので仕方のないところでしょう。
「子供の名義で投資して、無税という有利な制度を利用して教育費を作る」というジュニアNISAのメリットが、もっと広く知られるようになり、学資保険などのように地道に積立てする人が増えていけば、普及への道筋がみえることでしょう。