「老後の一人暮らし」を不安に思っている人は81.7%

[2016/10/6 00:00]

40歳以上に限定した意識調査

厚生労働省が「高齢社会に関する意識調査」の結果を公開しています。

これは、40歳以上の男女3,000人にインターネット上で行なった調査です。

地域や年齢ごとにサンプル数を調整しているため、一般的なインターネットアンケートよりも結果の信頼性が高くなっています。

ここでは、「老後の一人暮らし」についての項目を紹介しましょう。図版は調査報告書から引用しています。

老後の一人暮らしが不安な人は80%以上

最初に、「高齢者の単身世帯が増えていますが、老後に一人暮らしをすることになった場合に不安はありますか」と質問しています。

「大いに不安」が39.9%、「やや不安」が41.8%で、両方を合わせると、81.7%の人が一人暮らしに不安を感じています。

ほとんどの人が「一人暮らしは不安」と思っている

一人暮らしの不安は「病気」と「介護」

「老後が不安」と回答した人に、「具体的にどのようなことが不安ですか(3つまで)」と質問しています。

「病気になったとき」と「介護が必要になったとき」が、それぞれ79%でした。

生活における日常的なことではなく、何かあったときの対応が不安のようです。

一人暮らしは、「病気」や「介護」が必要になったときにどうするかが不安

「子どもや孫」以外なら、「民間のサービス」に頼りたい

老後の一人暮らしで「日常生活で困った時には誰に頼りますか」という質問には、「子どもや孫」という回答が一番多くなっています。

2位には「民間のサービス」が入っており、子どもや孫以外の人に頼るなら、民間のサービスに頼りたいという気持ちが分かります。

「民間のサービス」に頼りたいとする回答が多い

なお、この項目では、男女による回答の差が大きくなっています。

特に「友人」については、女性では9.9%の人が頼りたいとしているのに対し、男性では3.8%に留まっています。

逆に、男性では21.2%の人が「(頼りたい人が)いない」としているのに対し、女性では13.0%に留まっています。

定年退職後の男性は友人関係が少なく、孤立しがちであると言われますが、この調査でも、それを裏付ける結果となっています。

男性は頼れる「友人」が少なく、頼れる人が「いない」という回答が多い

一番受けたいサービスは「外出の手伝い」

「一人暮らしをする場合に、どのようなサービスがあるとよいですか」という質問では、「通院、買い物等の外出の手伝い」が一番多い回答でした。

次は「急病などの緊急時の手助け」と「洗濯や食事の準備などの家事支援」でした。

日常生活でのちょっとした支援か、何かあったときの緊急時の支援が求められているようです。

外出時の支援サービスを求める人が多い

困ったときだけ助けてくれれば良い

老人の一人暮らしへのサポートでは、「孤立死」などの悲惨なケースをもとに「孤立しないよう支援する」として弱者に対する目線で語られることが多いようです。

しかし、この調査によれば、高齢者の一人暮らしでも普段は自立して生活しており、困ったときだけ受けられるサポートが求められているように見えます。

また、支援を求める相手も「近所の人」や「友人」よりも、契約関係を伴った「民間のサービス」を希望する人が多くなっています。

イメージで言うと、倒れそうになった時だけ支えてくれる、自転車の補助輪のような、少し距離を置いたサポートを希望する人が多いようです。

今後、高齢者の一人暮らしが増えていくなかで、低額で困ったときだけサポートしてくれるようなサービスが登場すれば、受け入れられる可能性が高いように思えます。

[シニアガイド編集部]