「老後の一人暮らし」を不安に思っている人は81.7%
40歳以上に限定した意識調査
厚生労働省が「高齢社会に関する意識調査」の結果を公開しています。
これは、40歳以上の男女3,000人にインターネット上で行なった調査です。
地域や年齢ごとにサンプル数を調整しているため、一般的なインターネットアンケートよりも結果の信頼性が高くなっています。
ここでは、「老後の一人暮らし」についての項目を紹介しましょう。図版は調査報告書から引用しています。
老後の一人暮らしが不安な人は80%以上
最初に、「高齢者の単身世帯が増えていますが、老後に一人暮らしをすることになった場合に不安はありますか」と質問しています。
「大いに不安」が39.9%、「やや不安」が41.8%で、両方を合わせると、81.7%の人が一人暮らしに不安を感じています。
一人暮らしの不安は「病気」と「介護」
「老後が不安」と回答した人に、「具体的にどのようなことが不安ですか(3つまで)」と質問しています。
「病気になったとき」と「介護が必要になったとき」が、それぞれ79%でした。
生活における日常的なことではなく、何かあったときの対応が不安のようです。
「子どもや孫」以外なら、「民間のサービス」に頼りたい
老後の一人暮らしで「日常生活で困った時には誰に頼りますか」という質問には、「子どもや孫」という回答が一番多くなっています。
2位には「民間のサービス」が入っており、子どもや孫以外の人に頼るなら、民間のサービスに頼りたいという気持ちが分かります。
なお、この項目では、男女による回答の差が大きくなっています。
特に「友人」については、女性では9.9%の人が頼りたいとしているのに対し、男性では3.8%に留まっています。
逆に、男性では21.2%の人が「(頼りたい人が)いない」としているのに対し、女性では13.0%に留まっています。
定年退職後の男性は友人関係が少なく、孤立しがちであると言われますが、この調査でも、それを裏付ける結果となっています。
一番受けたいサービスは「外出の手伝い」
「一人暮らしをする場合に、どのようなサービスがあるとよいですか」という質問では、「通院、買い物等の外出の手伝い」が一番多い回答でした。
次は「急病などの緊急時の手助け」と「洗濯や食事の準備などの家事支援」でした。
日常生活でのちょっとした支援か、何かあったときの緊急時の支援が求められているようです。
困ったときだけ助けてくれれば良い
老人の一人暮らしへのサポートでは、「孤立死」などの悲惨なケースをもとに「孤立しないよう支援する」として弱者に対する目線で語られることが多いようです。
しかし、この調査によれば、高齢者の一人暮らしでも普段は自立して生活しており、困ったときだけ受けられるサポートが求められているように見えます。
また、支援を求める相手も「近所の人」や「友人」よりも、契約関係を伴った「民間のサービス」を希望する人が多くなっています。
イメージで言うと、倒れそうになった時だけ支えてくれる、自転車の補助輪のような、少し距離を置いたサポートを希望する人が多いようです。
今後、高齢者の一人暮らしが増えていくなかで、低額で困ったときだけサポートしてくれるようなサービスが登場すれば、受け入れられる可能性が高いように思えます。