65歳まで働ける制度を導入している企業は99.5%。何歳まで働くかどうやって決めるべきか

[2016/10/30 00:00]

65歳まで働ける「高年齢者雇用確保措置」が普及

現在、企業には、高齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」として、3つのいずれかを実施することが義務付けられています。

  • 「定年制の廃止」
  • 「定年の引上げ」
  • 「継続雇用制度の導入」

厚労省の調査によれば、従業員31人以上の企業15万社において、「高年齢者雇用確保措置」を導入している企業は99.5%に達しています。

大企業に限らず、従業員31人~300人規模の「中小企業」でも、65歳まで雇用される制度が整ったと言って良いでしょう。

99%以上の会社で、60歳以上が働ける制度が導入されている

継続雇用制度の導入が多い

「高年齢者雇用確保措置」では、80%以上の企業が「継続雇用制度の導入」を選択しています。

つまり、60歳という定年はそのままで、いったん区切りをつけ、改めて社員の希望に応じて雇用する制度です。

多くの企業は、60歳定年と「継続雇用制度の導入」を組み合わせている 出典:厚労省

60歳定年制の企業では、継続雇用を希望する人が80%以上で、継続雇用を希望せずに退職する人は17%に留まっています。

なお、現在は継続雇用を希望する社員は、基本的にそのまま雇用されます。

しかし、以前は継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みがあり、一部の会社では経過措置として残っています。この経過措置により、0.2%ですが、「継続雇用を希望したが、継続雇用されなかった」人がいます。

この経過措置は、一定の制限はありますが2025年まで残ります。特に、300人以上の大企業では、経過措置が適用されている企業が50%以上あります。

60歳定年企業における定年到達者の意向 出典:厚労省

60歳以上で働いている人は確実に増えた

現在、31人以上の規模がある企業による60歳以上の労働者数は「約325万人」に達しています。

労働者の総数は「約3,049万人」ですから、そのうちの10.6%を占めています。

2009年(平成21年)には、216万人でしたから、8年間で109万人増えています。「高年齢者雇用確保措置」の導入は有効だったといえるでしょう。

60歳以上の労働者数の推移 出典:厚労省

なお、60歳以上で働いている人の人数を年齢別に見ると、60~64歳が約202万人、65~69 歳が約95万人、70 歳以上が約27万人です。働き続ける年齢としては「65歳」が1つの目安になっていることがわかります。

「高年齢者雇用確保措置」について、どう備えれば良いか

では、定年後を考え始めたサラリーマンは、「高年齢者雇用確保措置」について、どのように対応すれば良いのでしょうか。
まず、次の2つは必ず行ないましょう。

  • 勤務先の「高年齢者雇用確保措置」の確認
  • 自分の年金支給年齢の確認

まず、「就業規則」を確認して、自分の会社が「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」の3つの制度のうち、どれを採用しているのか確認しましょう。

「定年制の廃止」「定年の引上げ」を採用している場合は、60歳を過ぎても、そのまま働き続けることができます。

「継続雇用制度の導入」を採用している企業では、その内容を確認しましょう。

継続雇用制度には、退職せずにそのまま雇用する「勤務延長制度」と、退職後再び雇用する「再雇用制度」があります。

多くの企業では再雇用制度が導入されており、雇用期間が1年単位となり、収入も定年前に比べて減ります。

仕事の内容が大きく変わる例もあるので、実際に継続雇用制度を利用した先輩の例を確認しましょう。

また、定年が2025年より前であれば、勤務先が「経過措置適用企業」であるかどうかも確認しておきましょう。「基準に該当しない」として再雇用されない人は、ごく少数ですが、ゼロではありません。

経過措置適用企業では「2.3%」が基準に該当しないとして再雇用されない 出典:厚労省

もう1つの「年金」の方を見てみましょう。

60歳以後も働き続ける大きな理由は、年金支給年齢の引き上げです。

50歳以上であれば、日本年金機構が、誕生日前後に送ってくる「ねんきん定期便」を見ることで、自分がいつから、いくらぐらいの年金が貰えるのかが、かなり確実な状態で分かります。

一度登録しておけば、インターネットの「ねんきんネット」でも確認できるので、自分の年金支給年齢と支給額を確かめましょう。

ねんきんネットで確認できる電子版「ねんきん定期便」の例。この例では64歳までは年金が貰えない

雇用制度と年金の2つの情報が確認できたら、それと、「子供の教育資金」「自宅の住宅ローン」「自分の老後資金」などの大きな支出を考え合わせて見ましょう。

そうすれば、60歳以後の自分の働き方を決めることができるでしょう。

[シニアガイド編集部]