「老後の生活が心配」な人は8割以上、「年金で日常生活をまかなうのが難しい」と思っている人は4割以上
世論調査から「年金」と「老後」について見る
金融広報中央委員会が、毎年行なっている「家計の金融行動に関する世論調査」の結果から、「老後」への備え方を見ていきましょう。
この世論調査は、結果の信頼度が高く、日銀や政府機関の基礎データとしても、よく使われています。
なお、ここで言う「金融資産」とは、現金、土地、住宅、貴金属は含まない、預貯金などの金融商品を指します。
お金を貯める理由は将来への不安から
金融資産を保有している目的は、「老後の生活資金」が1位で、「病気や不時の災害への備え」が2位でした。
この2つだけが50%を越えており、将来への不安が、金融資産を形成する動機になっていることがわかります。
8割以上の人が「老後」を心配している
老後の生活について「非常に心配している」と「多少心配である」という回答を合わせると、「83.4%」に上ります。
「それほど心配していない」人は、わずか15.9%しかいません。
しかも、前回の調査に対して、心配している人が増え、心配していない人が減っています。
老後が不安な理由は、備えができていないため
老後の生活を心配している理由としては、「年金や保険が十分でないから」と「十分な金融資産がないから」が、それぞれ7割前後となっています。
また、「現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備(貯蓄など)していないから」という、身につまされるような理由も、3位に入っています。
3位までの理由を見ると、老後に対して金銭的な備えができていないことが、不安の原因となっているようです。
年金で日常生活程度はまかなえるか
老後生活を支える制度である年金については「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」が48.0%、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」が46.2%で、競り合っています。
いずれにしても「年金でさほど不自由なく暮らせる」と考えている人は少数派で、年金でまかなえるのは、良くても日常生活費程度という認識が行き渡っています。
それでも、老後の収入の柱は「年金」
老後の生活費の収入源は、80%近くの人が「公的年金」を挙げています。
不安ではあるが、とりあえず頼りにせざるを得ないというところでしょうか。
続いて「就業による収入」、「企業年金、個人年金、保険金」が40%前後で続いています。
ここ数年の推移を見ると、「年金」を挙げる人が減り、「就業による収入」と「企業年金、個人年金、保険金」を挙げる人が増えてきています。
公的年金だけに頼るのではなく、なんらかの方法によって収入を得る必要があるという認識が広がりつつあります。
公的年金以外の備えをしよう
少子高齢化の影響で、公的年金については支給金額が減る方向であることは間違いありません。
定年以降も収入が得られる働き方をするか、企業年金や確定拠出年金など、公的年金に上乗せする年金制度への加入を検討しましょう。
毎月の積立金額は少なくても、長期間に渡って準備することで、老後に対する安心感を増やすことができます。