死が近い時期の医療についての希望を「誰にも伝えていない」人が半数を超える
東京都の福祉保健局が、「高齢者施策に関する都民意識調査」の結果を公開しています。
この調査は、20歳から65歳までの都民6,000人を選択して質問紙を郵送し、そのうちの2,602人から有効回答を得ています。
この記事では、その報告書から「終末期の意向」について見てみましょう。
死が近くなったら「やりたいことや生活を優先した医療」を受けたい人が多い
「自分の死が近くなったときに、受けたい医療」という質問に対して、7割近くの人は「自分のやりたいことや、自分の生活を優先した医療を受けたい」と回答しています。
2位以降は、「わからない」「できるだけ医療は受けたくない」「治療を優先した医療を受けたい」の3つが約1割で並んでいます。
自分の希望を伝えていない人が多い
「死が近い場合に、どのような医療を受けたいかという意向を誰かに伝えていますか」という質問に対して、半数以上の人が「誰にも伝えていない」と回答しています。
「口頭で家族に伝えている」人が29%、「口頭で家族以外の人に伝えている」が5%でした。
書面に残している人は1.5%に留まっています。
家族の意向も聞いていない人が多い
逆に「家族が終末期医療にどのような希望を持っているか意向を聞いていますか」という質問をしています。
対象が、父親、母親、配偶者のいずれであっても、「意向は知らない」という回答が一番多くなっています。
「意向を口頭で確認している」という人は、いずれの家族であっても1割強に留まっています。また、書面で確認している人は1%未満です。
最後を迎えたい場所は「自宅」
「自分が最後を迎えたい場所はどこですか」という質問に対して、一番多い回答は「自宅」でした。
全体では38.2%の人が「自宅」を選んでいます。
しかし、2位の「わからない」という回答も30.7%に及んでいます。
ホスピスなどの医療機関や老人ホームなどの介護施設を挙げる人は少数派でした。
死を身近に感じていない人が多い
終末期に関する回答を見ていると、多くの回答者が「死」やそれに伴う「終末期」を自分の身近な問題として感じていないことがわかります。
とくに、男性の場合、60代になっても、あまり身近な問題として感じていないようです。
例えば、「死が近い場合に、どのような医療を受けたいかという意向を誰かに伝えていますか」という質問に対して、「誰にも伝えていない」と回答している人の割合で見てみましょう。
男性の場合は、20代は70%台ですが、30代以降は、ずっと60%台です。
一方、女性の場合は、20代から30代は70%台と男性よりも高いのですが、50代、60代と年齢が上がるにつれて40%台まで下がっていきます。40代以降の女性は、死に思いを致し、なんらかの準備を始めることがわかります。
日本人の平均寿命は長く、男女とも80歳を越えています。
しかし、事故や病気などによって、急に死や終末期が訪れることは珍しいことではありません。
終末期の医療や死に場所について希望がある場合は、なんらかの形で意思表示をすることを検討しましょう。