人生の最期の医療を自分で選択するための4つのリンク
延命処置に関する書類の記入が求められるようになった
病院への入院や、老人ホームへの入所の際に「延命処置に関する意思確認書」や「終末期医療の事前指示書」という名前の書類への記入を求められることが増えてきました。
これらの書類は、患者が意思表示できなくなった場合に、その意思を尊重した治療を行なわれるために必要となるものです。簡単にいえば、延命処置を受けるかどうかという意志を記録しておくものです。
入院や入所に伴う、事務的な手続きをしている途中で、こういう書類が出てくると。「そういう可能性もあるのだ」ということに思い至って、厳粛な気分になります。
しかし、このような書類が存在し、記入を求められるいうこと自体が、まだ、あまり知られていないのではないかと思います。
この記事では、患者の意思を伝えるための書類である「事前指示書」の例と、人生の最後の段階について考えるきっかけになるサイトのリンクを紹介します。
公開されている「事前指示書」の例
まず、インターネットで無償公開されている「事前指示書」を2つ紹介します。
終末期医療の事前指示書|国立長寿医療研究センター
http://www.ncgg.go.jp/hospital/overview/organization/zaitaku/eol/ad/
A4で1枚にまとめられたシンプルな事前指示書です。終末期に行なわれる措置について簡単な解説が用意されているので、理解した上で記入できます。
私のリビングウィル|千葉県医師会
http://www.chiba.med.or.jp/personnel/nursing/styles.html
千葉県医師会が用意した事前指示書で、説明も含めてA4用紙4枚にまとめられています。
記入するのは2ページで、医療に関するものと、家族等に伝えておきたい希望に分かれています。
ページの下の方にある「啓発資材等」の項目にありますから、スクロールして探してください。
この2つの事前指示書は、それぞれの組織が作成したもので、あなたが入院する医療機関で有効とは限りません。
ただし、現在使用されている指示書は、この2つの事前指示書と、ほぼおなじ項目になっています。したがって、あらかじめ2つの事前指示書の文面を見ておくことで、迷いなく記入できるでしょう。
また、いずれかの事前指示書をプリントアウトして記入しておくことで、家族や医師に対して自分の意思を表明できます。
多くの医療機関では、書類に強制力はなくても、あなたの意志は尊重されるでしょう。
公的な制度を利用しての意思表示
ここまで紹介した「事前指示書」は、患者本人と家族が、医療機関に自分たちの意思を伝えるための書類です。
しかし、もう少し公的な立場で、第三者的な機関を利用して、自分の意思を残したいという場合もあります。
例えば、延命処置について自分の意思と反する意見をもつような身内がいて家族間で意見が統一できない場合などには、公的な書類を作成しておくことで、強い意思を表現することができます
ここでは、そのような場合に利用できる方法を2つ紹介します。
日本尊厳死協会「リビングウィル」
http://www.songenshi-kyokai.com/living_will.html
日本尊厳死協会は、1976年に創立されました。会の目的は「自分の病気が治る見込みがなく死期が迫ってきたときに、延命治療を断るという死のありかたを選ぶ権利を持ち、それを社会に認めてもらうこと」です。
そのための書類として用意されているのが「尊厳死の宣言書(Living Will:リビングウィル)」です。
A4で1枚の短い宣言書ですが、医療機関などが「事前指示書」を用意する流れができる上で大きな役割を果たした文書です。
日本公証人連合会「尊厳死宣言公正証書」
http://www.koshonin.gr.jp/business/b06#03
公正証書は、法律の専門家である公証人が立ち会って作成する公文書です。尊厳死については、背景となる法律がありませんので、公正証書を用意することで強制力はありません。
ただし、公正証書を用意してまで、自分の意思を表現しているという点では、周囲の人に強い意思を伝えることができます。遺言状とセットで作成しておくのも有効でしょう。
記入することで、自分の意志が確認できる
厚生労働省では、終末期医療について定期的な調査を行ない、それに基づいて「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定して公開しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html
病院においては、これを基本として、最後の医療の方針が決定されます。
ただ、普通の人が、いきなりこのガイドラインを読んで、自分が受ける医療について意志を決めることはむずかしいでしょう。
まずは、上の2つの「事前指示書」をプリントアウトして、実際に記入してみましょう。
そうすることで、自分がどのような医療を望んでいるのが、はっきりしてくると思います。
また、記入した書類を家族に見せて話をすることで、自分だけでなく、家族に対しても、いざというときの心構えができていくでしょう。
【お知らせ】この記事は、2018年4月16日に内容を更新しました。