10月の社会保険枠拡大に対して、40代以上の派遣社員はどう決断したか
社保適用拡大についてのアンケート
派遣のお仕事まとめサイト「エン派遣」は、これまで社会保険に加入していなかった20歳以上の女性に対してインターネットアンケートを行ない結果を公開しています。回答者数は1,207名でした。
アンケートの結果は年代別にまとめられているため、社会保険や厚生年金への関心が高まる40代以上の層が、今回の法改正に、どのように対応すると決めたのかが分かります。
「新たに社会保険に加入する」は5人に1人
「今回の法改正を受けての対応」で、一番多いのは「今後も社会保険に加入しない」で、62%もありました。
「新たに社会保険に加入する」は18%に留まっています。
40代と50代でも、この傾向は変わっていません。
40代以上では、働く時間や収入を増やす人が多い
では、「新たに社会保険に加入する」と回答した人達は、それによって働き方も変わったのでしょうか。
全体では51%の人が「労働時間を増やし収入を増やすようにした」と回答しています。
そして、この回答は、40代では52%、50代では64%に増えます。
40代以上では、今回の法改正に仕事と収入を増やす方向で対応しようとしています。
これは、「働き方を変えない」という人が多い、30代とは対照的です。
働く時間を短く変える人は4人に1人
逆に、「今後も社会保険に加入しない」と回答した人は、働き方も変えるのでしょうか。
実は、全体の70%の人は「もともと対象に当てはまらないので変えない」と回答しています。
「社会保険の対象から外れるために、働き方を変えた」という人は24%でした。
この比率は、40代以上でも、ほとんど変わりません。
社保に入るなら働く時間を増やす
ここまでの回答を見ると、「新たに社会保険に加入する」という18%の人の、ほとんどは収入を増やす方向で働き方を変えています。
特に、40代以上では、他の年代よりも働く時間を増やす方向で考えている人が多くなっています。将来の年金が視野に入ってくる年代だけに、保障を手厚くする方向へ進みやすいのでしょう。
一方、「今後も社会保険に加入しない」という62%の人のうち、収入や労働時間を減らす方向で働き方を変えたのは、4人に1人程度です。多くは、今回の法改正が定めた基準よりも少ない時間や収入で働いており、調整の必要がありません。
社会保険の対象拡大は、第3号被保険者制度や配偶者控除などの制度とも絡みあっており、単独では語れない部分もあります。
これらの諸制度の見直しが一段落付き、派遣やパートタイマーが自分がどのように働くべきか、判断しやすい状況になるまで、このアンケート結果のように、判断が割れる状況が続くでしょう。
付録:2016年10月の法改正の概要
今回の法改正では、「厚生年金保険」と「健康保険(社保)」の加入対象が拡大されました。
加入対象の新しい基準は、次の5つで、すべてが当てはまる必要があります。
- 労働時間が週20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上 (年収に換算すると106万円以上だが、基準となるのは月額)
- 勤務期間が1年以上の予定
- 勤め先の会社の従業員数が501人以上
- 学生または75歳以上ではない
厚生年金保険と健康保険に加入することにより、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金の受給対象となり、老後や万が一の際の保障が大きくなるというメリットがあります。
しかし、給与から保険料が天引きされて手取りが減ることや、夫の社会保険の扶養から外れることなどの経済的なデメリットがあります。