老後の生活資金に不安を抱く人は8割を超える。最大の心配事は「年金がもらえるかどうか」

[2016/11/29 00:00]

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が、「老後とお金に関する調査」の結果を公開しています。

この調査はインターネット上で行なわれ、20代から70代までの男女各100人、合計1,200人から回答を得ています。

「老後の生活資金が不安」は8割を超える

「ご自身の老後の生活資金についてどのように思いますか」という質問に対して、「不安に思う」と回答した方が最も多くなりました。

「どちらかと言えば不安に思う」と合わせると、80%以上の人が老後の生活資金について不安を抱えています。

年代別に見ると、40代が多くなっています。

各年代とも老後に対する不安が大きい

貯金が900万円以上あっても不安

貯蓄額別に見てみると、「900万円以上」貯蓄があっても、70%以上の人が「老後が不安」と回答しています。

老後の生活資金の不安は、貯蓄があるだけでは解消できないようです。

貯金が900万円以上あっても、「老後が不安」という人が7割を超える

老後の生活費は「約24万円」と想定

「老後の暮らしにかかるお金は、夫婦で過ごす際に月額どれくらい必要だと考えていますか」という質問には、金額の数値で回答を求めています。

全体の平均金額は「242,370円」でした。

年代別に見ると、20代では「226,200円」、70代以上では「267,050円」と想定しており、その差は約4万円あります。

実際に年金生活になってみると、若い頃に想定していたよりも生活費がかかるようです。

夫婦の老後生活に必要な生活費は、平均で24万円と想定されている

年金以外の準備は、「貯金」「働く」「投資」

「年金以外に老後資金をどのように準備していますか」という質問には、複数回答を求めています。

全体では、「預貯金(定期預金を含む)で準備する」が40.9%で1位でした。

次が「老後も働く」で35.7%、3位が「金融商品で増やす」で16.7%でした。

男女別で見ると、かなり傾向が異なります。

男性は、「老後も働く」「預貯金で準備」「金融商品で増やす」の順です。

女性は、「預貯金で準備」「老後も働く」「保険商品で準備」の順となっています。

男性の方が、「働く」「投資で増やす」という強気な姿勢が強く感じられます。

20代から50代まで「年金がもらえるのか心配している」

最後に「お金にまつわることで悩んでいることをお答えください」と聞いています。

全体では次のような結果になりました。

  1. 老後の医療費や介護費がいくらかかるかわからない 37.3%
  2. 貯蓄ができない 32.3%
  3. 年金がもらえるのか心配 31.3%
  4. 老後資金が準備できるか心配 23.8%
  5. 家計がいつも赤字になってしまう 15.3%

年代別では、20代から50代までは「年金がもらえるのか心配」が、60代と70代以上では「老後の医療費や介護費がいくらかかるかわからない」が1位となっています。

FPからの総括

調査結果について、一般からの相談に実際にあたっているFPが総括しています。

この総括は、自分の老後生活を考える際にも参考にしたい内容となっています。


調査結果を見てみると、若い年代は「年金が受給できるか」という不安を持っている人が多く、年金を受給している年代は医療費や介護費用に対して不安を抱いていることがわかりました。多くの場合、老後の生活資金を考えるうえで公的年金がベースになるため、制度や仕組みを理解した上で、「ねんきん定期便」などを確認し将来に受け取れる額の目安を把握して、老後資金づくりに役立てるとよいでしょう。

医療費については、高額療養費制度や後期高齢者医療制度など社会保険で賄える範囲を知った上で、不安があるようであれば民間の保険で準備してもよいでしょう。

教育、住宅、医療・介護資金をはじめ、ライフイベント費用や生活費は手厚くすれば、その分だけどんどんお金がかかります。「いくらかかるか」と心配する人が多いですが、「いくらかけたいか」「いくらまでならかけられるか」というように、まず自分がどうしたいのかをベースに考え、どのように準備していくかプランを立てていくことをお勧めします。

そのためにはライフイベント表やキャッシュフロー表に具体的な数字を落とし込み、安心できるプランになるよう、時期や予算をやりくりしてシミュレーションしていくとイメージしやすいと思います。安心して人生を楽しむためにも、お金について一度見直してみてはいかがでしょうか。

[シニアガイド編集部]