雇用保険の対象が65歳以上まで拡大。介護休業給付も対象に

[2016/12/12 00:00]

雇用保険の適用が拡大

2017年1月1日に、雇用保険が改正されます。

今回の改正では、高齢者が雇用保険に入れる機会が増えるため、65歳以上で働く人に大きな影響があります。

今回の改正の要点は、3つです。

  • 65歳以降に雇用された者についても、雇用保険が適用される。
  • 65歳以上でも「介護休業給付」「教育訓練給付」の対象となる
  • 雇用保険の徴収免除が廃止され、雇用保険料の徴収が始まる

1つずつ、もう少し詳しくみていきましょう。

65歳以降に雇われても雇用保険に入れる

これまでも、65歳以下から雇用されていた人が、65歳になったときは「高齢者継続被保険者」という名前で雇用保険の対象となっていました。

しかし、65歳を過ぎてから雇用された場合は、雇用保険に入れませんでした。

今回の改正によって、「1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込み」があれば、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。

雇用保険の対象となることで、受給要件を満たして離職したときに、「高年齢求職者給付金」が支給されます。

もちろん、「離職していること」「就職する意思があること」「離職前の1年間に6カ月以上加入していること」などの条件があります。

高年齢求職者給付金は、毎月の給付ではなく「離職時の賃金の30日分~50日分の一時金」ですが、職を失ったときに給付金が入るのはありがたいことです。

「介護休業給付」「教育訓練給付」が使える

これまで65歳以上は、「介護休業給付」や「教育訓練給付」などの対象から外れていました。

今回の改正によって、65歳以上であっても給付の対象となります。

「介護休業給付」は、介護を必要とする家族がいる場合に有効です。一定の条件に合えば、配偶者や父母らを介護するために休業した場合、賃金の67%を最大93日分受給できます。

また、「教育訓練給付」の対象となることで、資格の取得などが援助されます。

介護保険料の徴収は2020年から

一方で、現在免除されている64歳以上も、雇用保険の徴収が始まります。

ただし、経過措置として、2020年3月までは保険料は免除されます。

それ以降は、現役世代と同様に所定の保険料が天引きされます。

これまでの雇用保険は、65歳以上については、雇用の対象と考えていない印象でしたが、今回の改正によって、65歳以上でも普通に働くことが想定されるようになりました。

将来的な年金の金額が減額される可能性が高くなりつつある現在、生涯現役で働き続ける可能性は高くなっています。年金や健康保険に加えて、雇用保険の知識も身につけて、うまく利用しましょう。

65歳以上への雇用保険の適用例と企業側で必要な手続き
[シニアガイド編集部]