納めすぎた所得税を返してもらう「還付申告」の受付は1月4日から【2017年分申告版】

[2018/1/3 00:00]

還付申告は実質1月4日から受付開始

サラリーマンの場合、会社が年末調整を行なってくれるので、一般には税務署に所得税の確定申告を行なう必要がありません。

しかし、給与等から源泉徴収された所得税額が、実際の所得税額よりも多いときは、申告をすることによって、納め過ぎの所得税を返してもらうことができます。

この申告を「還付申告(かんぷしんこく)」といいます。

還付申告は、何枚かの書類を書くだけで、所得税の一部が戻ってきます。手間の割には、実入りが良い制度です。

また、所得税の申告の結果は、自分の住んでいる地方自治体の住民税にも反映されます。

つまり、還付申告をすることで、所得税だけではなく、2018年度に払う住民税も安くなります。

還付申告の期限は、翌年の1月1日から5年間です。

還付申告の受付期間は、フリーランスなどの「確定申告」が行われる2月16日~3月15日とは関係ありません。

確定申告の時期は、税務署の窓口が混み合いますから、その前に済ませましょう。

ほとんどの税務署の窓口では、新年は1月4日から受付が始まります。還付金を早くもらうためにも、正月三が日が空けたら申告に行くぐらいの気持ちでいましょう。

10万円以上の医療費や、ふるさと納税も対象

還付申告の対象になる事柄には、次のようなものがあります。

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていないとき
  • 「寄附金控除」ふるさと納税など、特定の寄附をしたとき
  • 「雑損控除」災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
  • 「医療費控除」原則として10万円以上の多額の医療費を支出したとき
  • 「特定支出控除」通勤のための転居費用や、資格取得費などが控除できる
  • 「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」株式売買に係る控除
  • 【セルフメディケーション税制】スイッチOTCなど、特定一般用医薬品の購入費のうち、1万2千円を越えた金額が戻ってくる

特に「年末調整を受けていない場合」は、源泉徴収された所得税がそのままになっています。還付申告をすることで、各種の控除が行なわれ、所得税が戻ってくることが多いので、必ず申告しましょう。

また、「ふるさと納税」を利用したときに、「ワンストップ特例制度」を選択していない場合は、還付申告をしないとお金が戻ってきません。必ず申告しましょう。

医療費の負担が大きかったときに使う「医療費控除」は、2017年分から制度が変わりました。入力する項目が減り、領収書の添付も不要になっています。

申告にかかる手間が少なくなっているので、還付申告しやすくなりました。

それぞれの項目の詳細については、国税庁の「還付申告」のページに、関連項目へのリンクがあります。

最後の【セルフメディケーション税制】は、2017年にできた新しい制度です。

こうれは、「医療費控除」の特例で、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額から1万2千円を差し引いた金額が、最高8万8千円まで戻ってきます。

「特定一般用医薬品」は、スイッチOTC薬などと呼ばれる製品が中心で、専用のマークが付いています。

セルフメディケーション税制の対象であることを示すマーク

医療費控除を受けるほどの金額ではないが、アレルギー薬の「アレグラ」や鎮痛剤の「ロキソニン」などのスイッチOTC薬を1万2千円以上使っている人には、ありがたい制度です。

ただし、医療費控除とどちらか片方だけしか使えないなど、いくつか条件があります。申告にあたっては、国税庁のセルフメディケーション税制のページで確認してください。

住宅を購入した場合や、リフォームした場合も税金が戻ってくる

2017年中に住宅を購入した場合や、リフォームをした場合も、手厚い控除が用意されています。

特に、一般には「住宅ローン減税」と呼ばれている「住宅借入金等特別控除」については、戻ってくる金額が大きく、通算すると数百万円にもなります。

1年目だけ、がんばって還付申告をすれば、2年目からは年末調整ですみます。

  • 「住宅借入金等特別控除」一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
  • 「住宅特定改修特別税額控除」など マイホームに特定の改修工事をしたとき
  • 「認定住宅新築等特別税額控除」認定住宅の新築等をした場合

それぞれの項目の詳細については、国税庁の「マイホームの取得等と所得税の税額控除」のページの「適用要件等」に、関連項目へのリンクがあります。

郵送や電子申告でも還付申告ができる

2018年1月4日からは、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」において、「平成29年分」が利用できるようになります。

このコーナーはパソコン用ですが、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税、消費税の申告書や青色決算書などを作成できます。

作成したデータは、PDFファイルとして出力されるので、印刷して税務署に持参するか、郵送します。

また、身元確認の手続きが済んでいれば、電子申告(e‐Tax:イータックス)を利用して、ネットで申告できます。

税務署に足を運ばなくも、郵送や電子申告を利用すれば還付申告できますから、うまく利用しましょう。

【お知らせ】この記事は2018年1月3日に内容を更新しました。

[シニアガイド編集部]