転入の方が多く、人を引き寄せる県は7つしかない
総務省統計局が「住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果」というレポートを公開しています。
これは、地方自治体間の住民票の移動を、1年単位で追ったものです。
住民票を移すということは、短期間の移動ではなく、そこに生活の基盤を移すということです。
転入が転出よりも多い自治体は、住宅や職業が提供できる環境と、人が集まる魅力があると言えるでしょう。
転入超過は7都府県しかない
まず、都道府県レベルで見てみましょう。
47都道府県のうち、2017年に転入が転出よりも多い「転入超過」となり、人が増えたのは都道府県は、7つしかありません。
それは「東京都」「千葉県」「埼玉県」「神奈川県」「愛知県」「大阪府」「福岡県」です。
これは、前年と同じ顔ぶれです。
「埼玉県」と「愛知県」以外は、2016年よりも2017年の増加数が増えています。ますます人が集まっている人気のある県と言えるでしょう。
東京への一極集中が進む
もう少し大きい区切りとして、東京、名古屋、大阪の3大都市圏で見てみましょう。
「東京圏」は東京都に、神奈川県、埼玉県、千葉県を加えたエリアです。
「名古屋圏」は愛知県に岐阜県と三重県を、「大阪圏」は大阪府に兵庫県、京都府、奈良県が加わります。
1955年からの、3大都市圏の推移を見みてみましょう。
高度成長期には、それぞれ勢いがあった3大都市圏ですが、1970年の大阪万博以降は、大阪圏に勢いがなくなり、名古屋圏に抜かれます。
東京圏もバブル崩壊後は勢いを失いますが、1995年頃から復活し、その後も転入超過を維持しています。
一方、名古屋圏と大阪圏は、ともに5年連続で転出超過となっています。
都道府県ではなく、もう一回り大きい都市圏というスケールで見ても、「東京圏」が優勢のようです。
7割以上の市町村は、転出の方が多い
最後に、一番小さい単位の市町村で見てみましょう。
全国に1,719ある市町村のうち、転入のほうが多いのは408市町村しかありません。
つまり、7割以上の市町村は、出ていく人の方が多い状態です。
転入超過数が一番多いのは「東京都特別区部(23区)」です。
2位は「大阪府大阪市」、3位は「北海道札幌市」となります。
この順位は2016年から変わりません。
20位までを県別に見ると、「千葉県」が一番多く、7市町村入っています。
逆に転出超過数が多い市町村を見ると、1位が「福岡県北九州市」、2位が「大阪府堺市」、3位が「長崎県長崎市」でした。
昨年は10位だった「堺市」が2位に入っています。
また、20位までを県別に見ると、「大阪府」が一番多く、3市町村入っています。大阪府は、周辺の市町村から「大阪市」に人が集まってしまう傾向が強いようです。
人の移動で見ると、「東京都特別区(23区)」の強さが際立っています。ますます、一極集中が進んでいる状況と言えます。
ただし、東京圏という単位で見ると、「千葉県」も人が増えており、中心部だけではなく、周辺も人を集める力があることが分かります。
一方、大阪市、名古屋市、福岡市など、その都市圏の中心となる「市」への人の移動が進んでいます。
そして、隣接している市町村から人を吸い上げる傾向が、ますます強くなっています。
【お知らせ】この記事は、2018年1月30日に内容を更新しました。