昼と夜の人口の差から見た、東京、大阪、名古屋の特徴
昼間の人口と夜の人口を比べる
都会とその周辺の住民の多くは、昼は通勤や通学で自分が住んでいる街の外に出て、夜に戻ってきます。
通勤や通学で増えた昼の人口を「昼間人口」、住んでいる人が中心の夜の人口を「夜間人口」と言います。
夜間人口を100とした場合の昼間人口の比率を「昼夜間人口比率」と言い、国勢調査の一部として公表されています。
「昼夜間人口比率」を見ることで、その街の特性が分かります。
昼夜間人口比率が100より大きい街は、会社や学校が多く、人が通ってくる街です。
逆に100より小さい街は、昼間は街の外に出た人が、夜に戻って休むための街です。
この記事では、東京、大阪、名古屋の3都市の特性を、昼夜間人口比率から見ていきます。
なお、都道府県ごとの昼夜間人口比率の一覧は、記事末に掲載しています。
住民の14倍もの人が流れ込んでくる「千代田区」
東京23区の昼夜間人口比率を見ると、中心部の比率が高く、周辺に行くほど同心円状に低くなっていきます。
中心に近い、千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区の5区では、昼夜間人口比率が200を超えています。
特に千代田区は、昼夜間人口比率が高く、住んでいる人の14倍もの人が昼間に流れ込んでいます。
中心の5区以外では、文京区と台東区が150を超えており、他の地域から通勤通学してくる場所となっています。
23区内でも周辺の区は、昼夜間人口比率が100を切っており、ベッドタウン的な性格が強くなってきます。
なお、東京に流れ込んでくる人は他県にも及んでおり、周辺の県では昼夜間人口比率が100を切っています。
県別の昼夜間人口比率を低い方から見ると、埼玉県が最も低く、2番目が千葉県で、4番目が神奈川県です。
東京都、特に23区の昼間人口を集める力の強さが分かります。
中央区と北区が中心の大阪
大阪市の昼夜間人口比率を区ごとに見ると、中央区と北区が高くなっています。
この2区が中心で、西区、浪速区、天王寺区が、それに続きます。
大阪市の西半分は、昼夜間人口比率が100を超え、東半分は100を切ります。
大阪市は東西で、地域の性格が異なっており、東半分はベッドタウン的な性格が強いことが分かります。
大阪市の昼間人口は、周辺の県からも供給されています。
奈良県は全国で昼夜間人口比率が3番目に低く、兵庫県は5番目に低い県です。
この2県は、ベッドタウンとして昼間人口を供給していると見て良いでしょう。
なお、近隣でも京都府は、昼夜間人口比率が高い方から3番目で、他県から昼間人口を集めています。大阪とは別の中心として成立していることが分かります。
名古屋の中心は「中区」
名古屋市の昼夜間人口比率を見ると、中区だけが飛び抜けて高くなっています。
中区を取り巻くように、昼夜間人口比率が100を超える区が集まっています。
ただし、中川区だけは100を切っており、ベッドタウン的要素が強いことが分かります。
名古屋市が属する愛知県の昼夜間人口比率は、東京、大阪、京都に次ぐ4位で、周辺の県から昼間人口を集めています。
周囲の県では、岐阜県の昼夜間人口比率が低く、愛知県のベッドタウンとなっているようです。
昼夜間人口比率は街を知るための物差しの1つ
昼夜間人口比率が極端に高い街は、職場や学校に通うための街であり、住むためには適さない場合もあります。
東京の例で言えば、千代田区は住居費が高く、商業施設も少ないため、住民が5万8千人しかいません。そのため85万3千人という昼間人口に対する比率が、14倍にもなっています。
ただし、一般的には昼夜間人口比率が高い街は、人が集まる街であり、繁華街でもあります。
逆に昼夜間人口比率が低い街は、ベッドタウンであり、住宅街であることが多いでしょう。
自分の住まいや職場を探すときに、その土地の特性を見るための1つの物差しとして「昼夜間人口比率」もチェックしてみましょう。