昼と夜の人口の差から見た、東京、大阪、名古屋の特徴

[2017/6/30 00:00]
東京都千代田区丸の内のオフィス街

昼間の人口と夜の人口を比べる

都会とその周辺の住民の多くは、昼は通勤や通学で自分が住んでいる街の外に出て、夜に戻ってきます。

通勤や通学で増えた昼の人口を「昼間人口」、住んでいる人が中心の夜の人口を「夜間人口」と言います。

夜間人口を100とした場合の昼間人口の比率を「昼夜間人口比率」と言い、国勢調査の一部として公表されています。

「昼夜間人口比率」を見ることで、その街の特性が分かります。

昼夜間人口比率が100より大きい街は、会社や学校が多く、人が通ってくる街です。

逆に100より小さい街は、昼間は街の外に出た人が、夜に戻って休むための街です。

この記事では、東京、大阪、名古屋の3都市の特性を、昼夜間人口比率から見ていきます。

なお、都道府県ごとの昼夜間人口比率の一覧は、記事末に掲載しています。

住民の14倍もの人が流れ込んでくる「千代田区」

東京23区の昼夜間人口比率を見ると、中心部の比率が高く、周辺に行くほど同心円状に低くなっていきます。

中心に近い、千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区の5区では、昼夜間人口比率が200を超えています。

特に千代田区は、昼夜間人口比率が高く、住んでいる人の14倍もの人が昼間に流れ込んでいます。

中心の5区以外では、文京区と台東区が150を超えており、他の地域から通勤通学してくる場所となっています。

23区内でも周辺の区は、昼夜間人口比率が100を切っており、ベッドタウン的な性格が強くなってきます。

なお、東京に流れ込んでくる人は他県にも及んでおり、周辺の県では昼夜間人口比率が100を切っています。

県別の昼夜間人口比率を低い方から見ると、埼玉県が最も低く、2番目が千葉県で、4番目が神奈川県です。

東京都、特に23区の昼間人口を集める力の強さが分かります。

出典:総務省

中央区と北区が中心の大阪

大阪市の昼夜間人口比率を区ごとに見ると、中央区と北区が高くなっています。

この2区が中心で、西区、浪速区、天王寺区が、それに続きます。

大阪市の西半分は、昼夜間人口比率が100を超え、東半分は100を切ります。

大阪市は東西で、地域の性格が異なっており、東半分はベッドタウン的な性格が強いことが分かります。

大阪市の昼間人口は、周辺の県からも供給されています。

奈良県は全国で昼夜間人口比率が3番目に低く、兵庫県は5番目に低い県です。

この2県は、ベッドタウンとして昼間人口を供給していると見て良いでしょう。

なお、近隣でも京都府は、昼夜間人口比率が高い方から3番目で、他県から昼間人口を集めています。大阪とは別の中心として成立していることが分かります。

出典:総務省

名古屋の中心は「中区」

名古屋市の昼夜間人口比率を見ると、中区だけが飛び抜けて高くなっています。

中区を取り巻くように、昼夜間人口比率が100を超える区が集まっています。

ただし、中川区だけは100を切っており、ベッドタウン的要素が強いことが分かります。

名古屋市が属する愛知県の昼夜間人口比率は、東京、大阪、京都に次ぐ4位で、周辺の県から昼間人口を集めています。

周囲の県では、岐阜県の昼夜間人口比率が低く、愛知県のベッドタウンとなっているようです。

出典:総務省

昼夜間人口比率は街を知るための物差しの1つ

昼夜間人口比率が極端に高い街は、職場や学校に通うための街であり、住むためには適さない場合もあります。

東京の例で言えば、千代田区は住居費が高く、商業施設も少ないため、住民が5万8千人しかいません。そのため85万3千人という昼間人口に対する比率が、14倍にもなっています。

出典:総務省

ただし、一般的には昼夜間人口比率が高い街は、人が集まる街であり、繁華街でもあります。

逆に昼夜間人口比率が低い街は、ベッドタウンであり、住宅街であることが多いでしょう。

自分の住まいや職場を探すときに、その土地の特性を見るための1つの物差しとして「昼夜間人口比率」もチェックしてみましょう。

都道府県別昼夜間人口比率一覧

出典:総務省データを基に編集部が作成
出典:総務省データを基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]