高齢者が狙われる「特殊詐欺」の手口一覧
[2017/2/8 00:00]
「特殊詐欺(とくしゅさぎ)」とは、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等を騙し(だまし)取る詐欺をいいます。
警察庁のデータによれば、特殊詐欺の被害者の78%が「65歳以上の高齢者」です。
特殊詐欺は「振り込め詐欺」と「振り込め詐欺以外の特殊詐欺」の2つに分けられ、それぞれ次のような手口があります。
振り込め詐欺
- オレオレ詐欺
息子などの親族、息子の会社の上司、警察官、弁護士等を装って、電話をかけてきます。
会社での横領、トラブルや交通事故の示談金などを名目にして、現金を預金口座等に振り込ませたり、宅急便や郵送などで送金させるなどの方法により騙し取ります。
また、警察官、銀行協会職員等を装って電話をかけ、自宅等へ現金やキャッシュカードを受け取りに来る受取型の詐欺もオレオレ詐欺に分類されます。 - 架空請求詐欺(支払え詐欺)
郵便、インターネット等を利用して不特定多数の者に対し、架空の事実を口実とした料金の請求や、偽の裁判通知などの文書・メールなどを送付します。
身に覚えのない料金請求を行なうことで、現金を預金口座等に振り込ませたり、宅配便や郵送などで送金させます。
- 融資保証金詐欺(貸します詐欺)
低金利で融資をする旨の文書等を送付するなどして、融資を申し込んできた者に対し、保証金や信用調査等を名目に、現金を振り込ませたり、宅配便や郵送などで送金させます。もちろん、融資は行なわれません。 - 還付金等詐欺(返します詐欺)
税務署や社会保険庁、市町村役場、電力会社、電話会社等を名乗り、税金や保険料、医療費、利用料金等の還付等があると騙します。
還付に必要な手続きを装って電話で指示し、被害者にATMを操作させて現金を騙し取ります。
振り込め類似詐欺
振り込め詐欺以外のもので、主として電話を用いて対面することなく、不特定多数の者を対象にします。架空又は他人名義の口座に、現金を振り込ませます。
- 金融商品等取引名目の詐欺(もうかります詐欺)
実際にはほとんど価値がない有価証券(社債や未公開株等)や、架空の有価証券、外国通貨などの購入を、ダイレクトメール等であっせんすると声をかけます。
その後、別の犯人が電話で「必ずもうかる」「3倍で買い取る」「あなたしか買えない」などと言って購入するように勧めます。これにより、最初に勧められた商品を買えば、高額で買い取ってもらえると信じ込ませて、現金を振り込ませます。
この手口は「劇場型」と呼ばれ、複数の会社や人物が登場して、被害者を騙します。
また、騙しのネタは社債や未公開株等の有価証券に限らず、外国通貨、鉱物の採掘権などの権利関係のものや、パソコンソフト、仏像、金、ダイヤモンド等の物品、会員権、社員権であることもあります。
- ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺(もうかります詐欺)
雑誌の広告やメールなどで、「パチンコ打ち子募集」「サクラのバイト」などと勧誘し、登録料や保証料の名目で現金を振り込ませます。
また、「パチンコ攻略法」や数字選択式宝くじの「当たり番号情報」、「競馬必勝情報」などで虚偽の情報を提供し、これを名目に現金を振り込ませます。 - 異性との交際あっせん名目の詐欺(紹介します詐欺)
雑誌やメール、サイト上で「女性紹介」などと掲載します。
これに申し込んだ人に対して、虚偽の異性の情報を提供したりした後、会員登録料や保証金等の名目で現金を振り込ませたり、異性になりすまして現金を要求したり、サイト上で高額なポイント等を購入させ現金を騙し取る詐欺をいいます。
送金方法では「電子マネー」型が増加
これらの詐欺において、犯罪者が現金を受取る方法は、「ATMなどの振込」「手渡し」「レターパックなどによる送付」があります。また、「キャッシュカードの手渡し」という手口もあります。
最近、増えてきているのは「電子マネー型」で、コンビニで電子マネーを購入して、そのコードをメールなどで送付させて騙し取ります。
「電子マネーのコード送れ」も詐欺ですから、注意してください。
「声がけ」が大きな抑止に
特殊詐欺の被害から高齢者を守るための対策として、次のような施策が進んでいます。
- 金融機関・宅配事業者・コンビニエンスストアと連携した声掛け運動
- 現金を送付させる手口に対して、被害金在中の荷物の配達を阻止するための取組を進める
- 一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者に対し、ATMによる振込限度額をゼロ円とする金融機関の取組を進める
- 自治体と連携し、電話でだまされないための自動通話録音機等の普及を進める
- 高齢者への直接的な啓発だけでなく、高齢者の家族等への働き掛けを強化し、高齢者に伝えてもらう取組を進める
不審な電話などがあったら、全国共通の警察相談専用電話(#9110)、またはもよりの警察署へ相談しましょう。