フリーランスの長所は「仕事が選択できる自由」、短所は「不安定な収入」
「フリーランス」という働き方
サラリーマンのような雇用関係がある勤め方ではなく、「業務委託契約」を結んだ「フリーランス」などの、時間と場所にとらわれない働き方が注目されています。
サラリーマンよりも自由があり、自分の仕事に専念しやすいというイメージがある「フリーランス」ですが、単なる「下請け」として扱われていることも多く、その実態が見えにくくなっています。
ここでは、厚労省の「雇用関係によらない働き方に関する研究会」の資料を基に、フリーランスという働き方の実情を紹介します。
男性と独身者が多い
調査に回答した、フリーランス2,000人のプロフィールを一般的なサラリーマンと比べると、次のような特徴があります。
- 40代と50代が多く、20代と30代が少ない
- 独身者の比率が高い
年収で一番多いのは「100万円未満」
フリーランスの年収で、一番多いのは「100万円未満」で、24%でした。
以下、「100万円代」と「200万円代」が続きます。
50%以上のフリーランスは、年収が300万円以下に留まっています。
ただし、「自分が家計の主な稼ぎ手である人」に限定すると、「300万円台」が18%で一番多くなっています。
以下、「200万円台」「400万円台」が続きます。
「自分が家計の主な稼ぎ手である人」の年収を、サラリーマンと比べると、少し多い傾向があります。
週平均で「32.4時間」働いている
フリーランスの「週平均労働時間」は32.4時間でした。これはサラリーマン全体の38.9時間に比べると、やや短くなっています。
ただし、40%以上の人は週に40時間以上働いており、パートタイム的に短時間働く人と、専門職として長時間ハードワークしている人が混在していることがわかります。
働き方に満足している人は半分
現在の働き方の満足度を、5段階で聞いています。
「満足」と「やや満足」の合計は47.7%で、ほぼ半数の人が、今の状態に満足しています。
「やや不満」と「不満」の合計は20.9%でした。
「仕事が自由に選択できる」のが最大のメリット
現状に満足している人に理由を聞いたところ、「自分のやりたい仕事が自由に選択できる」が一番多く、55%に達しました。
だいぶ離れて「育児や介護の時間がとれる」「人間関係の煩わしさがない」が続いています。
仕事の内容や時間、人間関係などについて自由度の高さを評価した回答が上位に来ています。
9割が「収入の不安定」を不満としている
一方、現状に不満足な人に理由を確認したところ、「収入が不安定。昇給がない」など収入に対する不満が多く、89%に達しています。
また、「スキルアップや成長ができない。将来の展望が持てない」が31%で続いています。
仕事は「人脈」や「取引のある会社」からやってくる
フリーランスで大変なのは、安定して仕事を確保することです。
実際に「顧客の獲得手段」を聞くと、「人脈(知人の紹介を含む)」が一番多くなっています。
2位は「取引経験のある企業」で、3位が「勤務経験のある企業」でした。
つまり、これまで仕事をしてきた経験による「人のつながり」が仕事を得るためには重要であることが分かります。
なお、クラウドソーシングなどの「仕事を仲介する企業・サービスの利用」や「WebやSNSによる広告宣伝」も一定の割合があります。
しかし、クラウドソーシングや広告宣伝に頼っているフリーランスは年収が低めで、年収が200万円未満の人が50%を超えています。
クラウドソーシングなどの場合、能力や実績よりも金銭面が重視されやすく、報酬が抑えられてしまうことが収入に影響しているのでしょう。
会社勤めの経験が重要
フリーランスになる前に会社勤めをした経験がない人は「13.3%」しかいません。
フリーランスの80%以上は、いきなりフリーランスになったのではなく、1社以上の会社に勤めた経験があります。
また、フリーランスとして重要な「専門性に関するスキル」を得た方法として、6割の人が「前職での職務経験」を挙げています。
フリーランスには、勤務経験で培われたスキルと、人のつながりが重要であることがわかります。
単に、今の会社が嫌でつながりを絶ちたいのであれば、フリーランスになるよりも、転職という方法の方が良いのかもしれません。
フリーランスとして独立を考えている人は、まず、現在の職場で専門に対するスキルと人脈を育てることを心がけると良いでしょう。
将来の仕事を獲得する手段としても、勤務している会社や、取引先とのつながりを切らしてはいけません。