大家さんの4人に1人は、36年以上前の「旧耐震」住宅を現役で持っている
大家さん向け賃貸経営情報誌「オーナーズ・スタイル」が、「賃貸住宅の旧耐震建物と地震保険加入に関するアンケート」というアンケートの結果を公開しています。
「オーナーズ・スタイル」誌の読者である賃貸住宅所有者1,107人が回答しており、賃貸住宅の震災対策の実情が分かる結果となっています。
36年以上前の「旧耐震」住宅が、まだ現役
1981年5月以前に建築確認を取得した「旧耐震基準」の賃貸住宅を所有しているオーナーが「25.5%」もいました。
旧耐震基準の建物ということは、築36年以上の建物ですが、それを4人に1人のオーナーが所有していることになります。
なお、旧耐震基準は「震度5強」でも建物が倒壊しない性能が、新耐震基準は「震度6強~7程度」でも倒壊しない性能が基準となっています。
旧耐震の賃貸住宅の棟数が、最も多いのが一戸建て賃貸で39.9%でした。
アパートが31.6%、マンションが28.5%です。
ただし、戸数ではマンションが一番多いと思われます。
また、旧耐震の賃貸住宅のほとんどは、今でも入居者が住んでおり、耐震補強工事を施している物件はごく一部にすぎないと推定されます。
地域別に見ると、旧耐震の賃貸住宅の所有率は「関西圏」が32.2%、「首都圏」が24.8%、「東海圏」が15.2%でした。
賃貸住宅の半分は地震保険に入っていない
所有する賃貸住宅の地震保険への加入状況を尋ねたところ、「加入している」は55.6%でした。
「加入・未加入が混在している」が9.9%、「加入していない」が34.5%です。
4割以上のオーナーは、地震保険未加入の賃貸住宅を所有していることになります。
地域ごとに、地震保険への加入率を比較すると、東海圏62.5%、関西57.3%、首都圏53.9%で、こちらも、東海圏が最も高くなっています。
東海圏のオーナーは「東海地震」が警告され続けてきた経緯があるため、震災に対する意識の高さがうかがえます。
オーナーは、入居者に安全な住まいを提供する義務がある
このアンケート結果に対して、「オーナーズ・スタイル」誌の編集長は、次のようにコメントしています。
22年前の阪神・淡路大震災、6年前の東日本大震災を経た今もなお、旧耐震の賃貸住宅が耐震補強されないまま、賃貸市場に数多く出回っているのが現状です。1年前の熊本地震でもアパートの倒壊で入居者が亡くなられたことが鮮明に記憶されています。
賃貸住宅オーナーには、入居者の生命を守れる安全な住まいを提供する義務があります。いつどこで大地震が発生してもおかしくない今、旧耐震の賃貸住宅は建て替えを、あるいは耐震補強工事の実施が強く望まれます。
また、建物が大きい賃貸住宅は地震保険料が高額になるため、新耐震基準の建物、特にマンションについては加入をためらうオーナーが多いようです。
新耐震の建物であっても地震の揺れや火災等で大きな損害を受ける可能性があります。東日本大震災の際も、地震保険に未加入だったために賃貸経営を再開できなかった事例が多くありました。オーナーには地震保険への加入を強くお勧めします。