交通事故死の半分以上は65歳以上の高齢者が占めている
年間の交通事故死が4,000人を切る
2016年(平成28年)の交通事故による死者は、昨年より213人減り、「3,902人」でした。
交通事故による1年間の死者数が4,000人を切ったのは、1949年(昭和24年)以来で、67年振りになります。
死者数が一番多かった1970年(昭和45年)には「16,765人」が死亡していたので、それに比べれば4分の1以下になりました。
交通事故死の半分以上は高齢者
しかし、交通事故による死者が減少する中で、高齢者の死者数はあまり減っていません。
2006年(平成16年)からの10年間で見ると、交通事故による死者数は6,415人から「3,904人」へ、43%も減りました。
しかし、65歳以上の高齢者に限ると、2,840人から「2,138人」へ、25%しか減っていません。
10年前は死者における高齢者の比率は44.3%でしたが、2016年は「54.8%」に達しています。
現在では、交通事故による死者の半数以上が65歳以上の高齢者なのです。
死亡率は下がっているが、高齢者自体が増えている
次に、人口10万人当たりの比率で見てみましょう。
交通事故による死者全体では「3.07人」なのに対し、高齢者は「6.39人」で、倍以上の割合です。
ただし、人口10万人当たりで見ると、10年前に比べて高齢者の死亡率が、大きく下がっていることが分かります。
実は、高齢者の交通事故死が減らないのは、高齢者の事故率が上がっているのではなく、高齢者が増えているためなのです。
せっかく人口10万人当たりの死亡率が下がっても、それ以上の勢いで高齢者人口が増加しているので、死者数が減らないのです。
運転中に限らず、いつでも交通安全を
2017年3月には、高齢運転者に係る交通安全対策が強化された「改正道路交通法」が施行されます。
具体的には、75歳以上の高齢運転者に対する検査や講習の強化が盛り込まれ、状況に応じて、専門の医師による検査や診断が義務付けられました。場合によっては「運転免許の取消し又は停止」に至ります。
ただし、高齢者の交通事故は運転中だけではなく、歩行中や自転車乗車中でも多くなっています。
運転中にかぎらず、外出時には交通安全に気をつけるように、周囲も声をかけるなどして注意しましょう。