今年3月から厳しくなる高齢者の免許更新

[2017/1/27 00:00]

高齢運転者に厳しくなる道交法

2017年3月12日に道路交通法が改正されます。

今回の改正では、高齢者の運転による交通事故の多発を受けて、75歳以上の高齢運転者に対する検査や講習の強化が盛り込まれました。

今回の道路交通法の改正では、状況に応じて、専門の医師による検査や診断が義務付けられ、それが行なわれない場合は「運転免許の取消し又は停止」が明文化されたことがポイントです。

ここでは、違反行為を起こした場合と、運転免許証の更新時における改正の内容を解説します。

危険な違反をすると、検査と講習が義務付けらる

高齢運転者対策の推進として「臨時認知能検査」と「臨時高齢者講習」が新設されました。

「臨時認知機能検査」や「臨時高齢者講習」を受けない場合は、運転免許の取消し又は停止となります。

  • 「臨時認知機能検査」
    75歳以上の運転者が、認知機能が低下したときに起こしやすい「18基準行為」という違反をすると、強制的に検査が行われます。「18基準行為」については、この記事末に一覧を掲載しています。
  • 「臨時高齢者講習」
    臨時認知機能検査により、認知機能の低下が運転に影響するおそれがあると判断された高齢者は、個別指導と実車指導を受けます。
出典:警視庁

免許の更新時に医師の診断書が必要になる場合も

運転免許証の更新時に「75歳以上」の場合は、「認知機能検査」を受け、認知機能が低下しているかどうかが判断されます。
検査結果によって、次の3つのいずれかが選択されます。

  • 「認知機能が低下しているおそれが無い場合」は、「合理化講習」という約2時間の講習を受けます。
  • 「認知機能が低下しているおそれが有る場合」は、「高度化講習」という約3時間の講習を受けます。高度化講習には「個別指導」が含まれており、ドライブレコーダーなどを利用した実践的な講習が予定されています。
  • 「認知症のおそれがある」と判定された場合は、臨時の適性検査を受けるか、「認知症に関し専門的な知識を有する医師又は認知症に係る主治医」の診断書を提出することとなります。医師の診断書を提出しない場合は、運転免許の取消し又は停止となります。
出典:警視庁

予備検査で状態の把握を

今回の改正を受けて警視庁では、「75歳以上で免許更新を希望する」場合は、事前に講習予備検査の受検を義務付けています。

「講習予備検査」は、「時間の見当識」「手がかり再生」「時計描画」の3つの検査を行なうことで、高齢者に自分の自分の判断力や記憶力の状態を知らせることが目的です。

いずれも簡単な検査ですが、これで問題があるようならば、運転免許証の更新をあきらめる決心がつきやすくなるでしょう。

高齢の家族が運転免許証の更新を希望している場合は、各都道府県の警察などに問い合わせて「講習予備検査」などを受験してもらうのも1つの方法でしょう。

  • 「時間の見当識」検査時の年月日、曜日及び時間を回答する
  • 「手がかり再生」16種類の絵を記憶し、何が描かれていたかを回答する
  • 「時計描画」時計の文字盤を描き、指定された時刻を表す針を描く

資料:「18基準行為」

「臨時認知機能検査」の対象となる、以下の違反行為を「18基準行為」と言います。

  • 信号無視 (例:赤信号を無視した)
  • 通行禁止違反 (例:通行が禁止されている道路を通行した)
  • 通行区分違反 (例:歩道を通行した場合、逆走をした)
  • 横断等禁止違反 (例:転回が禁止されている道路で転回をした)
  • 進路変更禁止違反 (例:黄の線で区画されている車道において、黄の線を越えて進路を変更した)
  • しゃ断踏切立入り等 (例:踏切の遮断機が閉じている間に踏切内に進入した)
  • 交差点右左折方法違反 (例:徐行せずに左折した)
  • 指定通行区分違反 (例:直進レーンを通行しているにもかかわらず、交差点で右折した)
  • 環状交差点左折等方法違反 (例:徐行をせずに環状交差点で左折した)
  • 優先道路通行車妨害等 (例:交差道路が優先道路であるのにもかかわらず、優先道路を通行中の車両の進行を妨害した)
  • 交差点優先車妨害 (例:対向して交差点を直進する車両があるのにもかかわらず、それを妨害して交差点を右折した)
  • 環状交差点通行車妨害等 (例:環状交差点内を通行する他の車両の進行を妨害した)
  • 横断歩道等における横断歩行者等妨害等 (例:歩行者が横断歩道を通行しているにもかかわらず、一時停止することなく横断歩道を通行した)
  • 横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等 (例:横断歩道のない交差点を歩行者が通行しているにもかかわらず、交差点に進入して、歩行者を妨害した)
  • 徐行場所違反  (例:徐行すべき場所で徐行しなかった)
  • 指定場所一時不停止等  (例:一時停止をせずに交差点に進入した)
  • 合図不履行  (例:右折をするときに合図を出さなかった)
  • 安全運転義務違反  (例:ハンドル操作を誤った場合、必要な注意をすることなく漫然と運転した)
[シニアガイド編集部]