合法的な「民泊」は16.5%だけ

[2017/3/2 00:00]

民泊の実態を把握するための調査

厚労省が、初めての「全国民泊実態調査」の結果を公開しました。

これは厚労省が、「民泊について実態が把握しきれていない」という指摘を受けて行なったものです。

調査は2016年の10月から12月に行なわれました。対象となったのは、Airbnbなどの民泊仲介サイトに掲載されている、15,127件の民泊物件です。

許可を得ている物件は少ない

民泊を合法的に行なうためには、なんらかの営業許可が必要となります。

しかし、許可を得ていた物件は「16.5%」だけでした。

無許可であることが確認できたものも30%ありますが、一番多いのは「物件特定不可・調査中等」で、50%を超えています。

これについて厚労省では、「正確な住所が詳細に記載されている物件がほとんど無く、物件の特定すら非常に困難であった」とコメントしています。

なお、東京23区や政令指定都市などの大都市圏に限ると、許可を得ている割合は「1.8%」と、全国平均よりもさらに低くなっています。

出典:編集部作成

許可の内容は「簡易宿泊施設」が多い

営業許可を受けている合法的な物件の内訳を見ると、「簡易宿泊営業」が60%を超えています。

次は「旅館営業」で25%ほど、「ホテル営業」が4%です。

特区で民泊が認められている「特区民泊」は、わずか2%に留まっています。

簡易宿泊営業は、旅館法に定められた小規模な宿泊施設で、既存の施設では民宿やカプセルホテルなどが該当します。

出典:編集部作成

無許可物件は「共同住宅」が多い

無許可物件について、詳細を見てみましょう。

住居のタイプとしては、「共同住宅」が「一戸建て」を上回っています。

また、一戸あたりの平均宿泊可能人数は4.2人です。

出典:編集部作成

また、宿泊費が安いのが特徴で、1泊当たりの宿泊費は許可を受けた物件が1万6千円なのに対して、ほぼ半額の7千円台です。

一方、最低宿泊日数は2泊からで、許可物件に比べると、やや厳しくなっています。

出典:編集部作成

年内の動きに注意を

今回の「全国民泊実態調査」では、「物件特定不可・調査中等」が50%を超えるなど、明らかにならなかった点も少なくありません。

しかし、国の機関が所在を確認しようとしても確認できない物件が多いという状況が、現在の民泊の実情を表していると言えなくもありません。

民泊については、新法の国会提出など、今年もいろいろな動きが予定されています。

副業としての民泊を考えている場合は、それらの動向を見定めてからでも遅くはないでしょう。

[シニアガイド編集部]