フリーランスが引退する年齢と、その理由
「廃業」した人への調査結果
フリーランス(自営業)には、定年がありません。
長くなったとはいえ、65歳までで一応の区切りがつくサラリーマンに比べれば、ずっと長く現役でいられます。
しかし、周囲の様子を見ていると、やはりある程度の年齢で働くのを止める例が多いようです。
いったいフリーランスは、何歳ぐらいまで働き、何を理由にして廃業しているのでしょうか。
帝国データバンクが中小企業庁の委託を受けて行なった「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」に、その答えがありました。
この調査は、2013年~2014年にかけて廃業した会社を対象にして行なわれ、741社から回答を得ています。
対象は中小企業となっていますが、その9割は小規模な個人事業者なので、フリーランスにとっても参考となる資料です。
グラフは調査結果を基にして、編集部が作成しました。
60代から70代の廃業が多い
廃業者の年齢構成を見ると、「60代」と「70代」の2つで70%以上を占めています。
このぐらいの年令になると、現役引退を考えるということでしょう。
経営者の気力と体力が廃業の原因
廃業を決断した理由は「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」が5割近くを占めています。
つまり、周辺の状況ではなく、自営業者である自分自身の気力と体力が問題となっています。
一方、2位は「事業の先行きに対する不安」、3位は「主要な販売先との取引停止(相手方の倒産含む)」で、いずれも事業に関する周辺状況が問題となっています。
4割以上は黒字企業
廃業時点の経営状況を見ると、「経常黒字」が4割以上で、「経常赤字が1期のみ」が2割で、悪くありません。
どちらかと言えば、経営余力がある中で廃業を決断しており、事業をとりまく状況が廃業の主な理由ではないことが裏付けられます。
全員が「生涯現役」ではない
調査結果を見ると、個人事業者が事業を止めることを意識するのは、周囲の状況よりも自分自身の体力と気力などの衰えがきっかけになっていることが分かります。
具体的な年齢としては、60代から70代が、一つの目安となるでしょう。
フリーランスの多くは、サラリーマンの定年よりも長く働いていますが、すべてのフリーランスが生涯現役というわけではありません。
なお、調査結果によれば、廃業を決断する場合には「家族・親族」に相談する人が5割、「誰にも相談しない」人が3割でした。
フリーランスが廃業を考え始めたら、取引先より先に、まず家族に相談するところから始めた方が良さそうです。