2020年から始まる世帯数の減少が、住宅市場の縮小を招く
不動産評価サイトが住宅市場の縮小を警告
不動産評価Webサイト運営の「タス」が、今後の住宅市場の縮小を警告しています。
この警告は、毎月更新されている「賃貸住宅市場レポート」の2017年3月公開分に「今後縮小が予測される住宅市場」として掲載されたものです。
タスにより、ニュースリリースとして公開された範囲を下記に掲載します。なお、引用文は原文のままですが、読みやすいように改行を追加しています。
世帯数の減少が住宅市場の減少につながる
日本では少子高齢化や晩婚化・未婚化が進行しています。
すでに日本の人口は減少が始まっており、世帯数についてもオリンピックが開催される2020年頃から減少に転ずると予測されています。
国立社会保障・人口問題研究所が2014年に発表した推計では、最も人口が集中している首都圏でも2020年には世帯数の伸びが頭打ちし、2025年以降は減少に転じます。
2030年には首都圏を除くすべての地域で2010年時点の世帯数を下回ることが予測されています。世帯数が減少に転ずるということは、すなわち今後住宅市場が縮小に転ずることを示しています。
世帯の形によって減少する時期は異なる
首都圏は全国から人口が流入している地域ですが、それでも東京都と神奈川県は2025年、埼玉県と千葉県はオリンピックの開催される2020年をピークとして世帯数が減少に転ずることが予測されています。
ただし、世帯の形態により増減の状況は異なります。
ボリュームが大きい「単独世帯」は、東京都で2025年、その他の地域で2030年をピークに減少に転じます。
「夫婦と子供から成る世帯」は、東京都以外の地域ではすでに減少傾向にありますが、東京都のみ2020年まで増加し、その後減少に転じます。
小池都知事は年収760万円未満の世帯を対象に私立高校無償化を表明していますが、これにより「夫婦と子供から成る世帯」の東京への集中が加速する可能性もあります。
「ひとり親と子から成る世帯」は、すべての地域で世帯数が右肩上がりに増加すると予測しています。2010年に対して2035年は、東京都が45%増、神奈川県が41%増、埼玉県が34%増、千葉県が31%増です。
「夫婦のみの世帯」は、東京都では世帯数の増加が継続しますが、神奈川県と埼玉県では2025年、千葉県では2020年をピークに減少に転じます。
「その他の一般世帯」は、2010年に対して2035年は全ての地域で30%以上減少すると予測しています。
世帯数の増加が2025年まで継続する東京都や神奈川県であっても、これまでのような市場の拡大が期待できない可能性があります。