「ふるさと納税の返礼品は寄付額の3割以下に」と総務省が通知
4月1日付けで通知
高市早苗総務大臣は、3月31日に行なわれた記者会見で、4月1日付けで地方自治体に対して、ふるさと納税に関する通知を行なうと発表しました。
ふるさと納税については、2月に総務大臣が返礼品をめぐる過当競争に対して批判する発言をしており、総務省の指導が行なわれる可能性が高まっていました。
会見の内容を基に、通知の内容を紹介します。
【4月3日追記】総務省より通知の内容が公開されましたので、リンクを追加しました。
返礼品は寄付額の3割以内に
今回の、総務省の通知は、次の2点がポイントです。
- 「寄附額に対し返礼割合の高い返礼品」について、少なくとも3割を超える返礼割合の返礼品については、速やかに3割以下とすること。
- 「金銭類似性の高いもの」や「資産性の高いもの」について例示を追加するとともに、これらについて、換金の困難性や地域への経済効果の如何等にかかわらず送付しないこと。
(1)は、寄付額に対して送付される「返礼品」の競争が激しくなっており、せっかくの寄付金に対して、その半分以上が返礼品の調達に使われてしまうという例もありました。
今回、返礼品の原価を「寄付金の3割以下」にするという、事実上のガイドラインを設けることで、返礼品をめぐる競争を抑えることを目的としています。
ただし、これは3割の返礼品が妥当というわけではなく、少なくとも3割以下にすべきであるということが強調されています。
(2)は、旅行券や金券などの金銭に近いものや、家電商品などの資産性の高い返礼品とすることを、事実上禁止しています。
金券や家電商品はオークションサイトでの転売例も多く、問題となっていました。
ふるさと納税の返礼品は、あくまでもお礼であって、優待販売などではないという趣旨を徹底しようという狙いです。
どうなる「ふるさと納税」
今回の通知によって、ふるさと納税は、どう変わっていくのでしょう。
そもそも、ふるさと納税の制度には、「返礼品」は含まれていません。
「返礼品」は、ふるさと納税の対象となっている地方自治体が、寄付金へのお礼として始めた取り組みです。
しかし、「ふるさと納税」サイトの登場などによって横並びで比較されやすくなり、より豪華な返礼品を調達するために、原価が上昇していきました。
記者会見でも、「特に返礼割合が高い返礼品を送付している地方団体に対して、速やかな見直しを求める旨の通知」であることが重ねて強調されています。
今回の総務省の通知によって、「肉や米が得だから」という返戻金目当ての競争になりそうな情勢は沈静化するでしょう。
いくつかの地方自治体では、ふるさと納税のコーナーを一時閉鎖し、状況を見ているようです。
また、今回の通知により、ふるさと納税をする側の私達も、何のための「ふるさと納税」であるかということを考え直す機会が与えられたと言えるでしょう。
例えば、大きな災害に遭った地域への「ふるさと納税」など、その「ふるさと」への気持ちがこもった寄付であれば、返礼品がなく、礼状1通が届くだけであっても、「ふるさと」の役に立てたという喜びが感じられるのではないでしょうか。
これからは、その自治体が、どのような活動のために寄付を募っているかということが吟味され、その活動に賛同する人が「ふるさと納税」を行なうという本来の形に戻っていくと思われます。