現役世代は社会に対して否定的な人が、高齢者は肯定的な人が多い

[2017/4/5 00:00]

政府による社会意識の調査

内閣府が「社会意識に関する世論調査」の結果を公開しています。

この調査は、政府が国民の基本的意識の動向を見るために調査しているものです。

今回の調査は、無作為抽出した1万人を対象に調査員が個別面接して行なわれ、5,993人が回答しています。

ここでは、社会に対する満足度について見ていきます。

年代によって大きく異なる満足度

「あなたは、現在の社会に全体として満足していますか。それとも、満足していませんか。1つだけお答えください」という質問をしています。

回答者全体では、「やや満足している」が一番多く、「満足している」と合わせると、「65%」を超えます。

一方、「あまり満足していない」と「満足していない」を合わせると「33%」でした。

年代別に見ると、「30代」から「50代」は、社会に満足していない人が多く、「60代」と「70代以上」は満足している人が多くなっています。

つまり、現役世代は社会に対して否定的な人が多く、高齢者層は社会に対して肯定的な人が多いという傾向があります。

下のグラフでは、「満足している人」は青で、「満足していない人」は赤で表示しています。

出典:調査結果を基に編集部が作成

「経済的なゆとりと見通しが持てない」が最大の不満

「現在の社会において満足していない点は何ですか」という質問で、不満点を聞いています。

回答が多かったのは、「経済的なゆとりと見通しが持てない」、「若者が社会での自立を目指しにくい」、「家庭が子育てしにくい」でした。

特に、「経済的なゆとりと見通しが持てない」は4割以上の人が挙げており、最大の不満点となっています。

年代別では、30代から50代は「働きやすい環境が整っていない」と「女性が社会での活躍を志向しにくい」を挙げている人が多くなっています。

一方、50代以上では「若者が社会での自立を目指しにくい」と「熟年・高齢者が社会と関わりにくい」が多い傾向があります。

若者の自立については、若い世代自身よりも、親の世代の方が心配しているようです。

出典:調査結果を基に編集部が作成

良い点は「良質な生活環境が整っている」

一方、「現在の社会において満足している点」という質問では、「良質な生活環境が整っている」が多くなっています。

以下、「心と身体の健康が保たれる」、「向上心・向学心を伸ばしやすい」、「人と人とが認め合い交流しやすい」などが多い回答でした。

出典:調査結果を基に編集部が作成

ここ数年は肯定的な人が増えている

今回の調査では「社会全体の満足度」は、3分の2の人が満足しており、3分の1の人が満足していないという結果でした。

この結果を過去にさかのぼって見ると、ここ数年は「満足している」という回答が増えています。

リーマンショックなどの時期に比べれば、経済状況が改善されている点が影響している可能性が高いでしょう。

なお、世相を表現する言葉としては、明るいイメージでは「平和である」を、暗いイメージでは「無責任の風潮がつよい」を挙げる人が多く、世間の安定感と人々の孤立感が背景に感じられます。

出典:調査結果を基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]