現役時代の職業で分かる、夫婦で貰える年金の金額
夫婦世帯が受け取っている実際の年金額
いま年金を受け取っている人は、夫婦で年にどれぐらい受け取っているのでしょう。
厚労省の「老齢年金受給者実態調査」に、データがありました。
ここでは、年金額がわかりやすいように、夫婦が2人だけで暮らしており、両者とも年金を受給しているという場合に限定しています。
さらに、夫と妻の現役時代の働き方の組み合わせごとに整理して、具体的な年金額を紹介しましょう。
どの経歴も20年以下で、いずれにも該当しない場合は「中間的な経歴」という項目を見てください。
夫が「正社員」の場合は、夫婦で300万円台
夫が正社員だった夫婦2人世帯の平均年金額は「327.3万円」でした。
金額が一番大きいのは、妻も「正社員」として働いていたケースです。この場合、年金額は「364.4万円」になります。
妻が「常勤のパート」「アルバイト」「自営業」の場合、年金額は「299万円~305万円」になります。
これらの場合、妻が「第3号被保険者」に留まれる扶養の範囲内で働いていることが多いので、妻の職種による差はあまりありません。だいたい「2人で300万円」と思って良いでしょう。
興味深いことに、夫が「正社員」で、妻が「収入を伴う仕事をしていない期間中心」という組み合わせでは、年金額が「334.9万円」になっています。これは、妻が働いている場合よりも高い金額です。
これは想像になりますが、夫の収入が高くて、妻が専業主婦として過ごしていたのではないでしょうか。妻が働きに出なくてすむほど、現役時代の夫の収入が多く、結果的に年金額が高くなっているのでしょう。
夫が「自営業」の場合は、夫婦で160万円台
次に、夫が「自営業」の場合を見てみましょう。
夫が自営業だった夫婦2人世帯の平均年金額は「166.9万円」でした。
金額が一番大きいのは、夫が「自営業」、妻が「正社員」の組み合わせで「207.7万円」でした。
妻が「常勤のパート」の場合の年金額は「176.7万円」です。
これは妻が「アルバイト」や「自営業」の場合の「160~163万円」よりも高く、妻が常勤のパートでしっかり稼いでいる様子がうかがえます。
また、妻が「収入を伴う仕事をしていない期間中心」の場合は「165万円」でした。夫が正社員の場合に比べて、他のケースと大きな差がありません。
年金の金額に差が出る理由
現役時代の職業が、どうして年金の金額に影響するのでしょう。
現役時代が「自営業」だった場合は「第1号被保険者」と言って「老齢基礎年金」のみが支給されます。
これに対して、現役時代に「正社員」だった場合は「第2号被保険者」と言って、「老齢基礎年金」に加えて「老齢厚生年金」が支給されます。
第2号被保険者の年金は、2階建ての構造になっていると思えば良いでしょう。
しかも、加入期間だけで年金額が決まる「老齢基礎年金」に対して、「老齢厚生年金」は現役時代の収入が大きければ支給額も増えます。
夫と妻の両方が正社員であれば、2人分の稼ぎが反映された老齢厚生年金が支給されますから、貰える年金の金額が多くなるのです。