「屋内全面禁煙」に賛成する若者が少ない意外な理由
「屋内全面禁煙」に賛成する人は「59%」
調査会社のリサーチ・アンド・ディベロプメント(R&D)が、「屋内全面禁煙化に対する意識調査」の結果を公開しています。
このレポートは、首都圏40km範囲の18~79歳を対象に行なわれた大規模調査の一部です。
「飲食店などの公共の屋内でのふつうのタバコを全面禁煙にすべきだと思う」人は、全体の「59%」でした。
年代別に見ると、20代で屋内全面禁煙に賛成している人は「48%」と少なく、70代では「74%」と多くなっており、年齢が高いほど禁煙に賛成する人が多くなっています。
屋内全面禁煙に賛成する喫煙者は「17%」
自分自身が喫煙者である場合と、非喫煙者である場合に分けると、屋内全面禁煙に賛成する率は大きく異なります。
喫煙者の場合、屋内全面禁煙に賛成している人は「17%」しかいません。
一方、非喫煙者で賛成している人は「70%」に達しています。
この場合でも、年齢が若いほど屋内全面禁煙に賛成している人が少ない傾向があります。
20代の全面禁煙 「賛成」の割合が低い理由
今回の結果について、R&Dでは次のように分析しています。
飲食店などの公共の屋内でのたばこ全面禁煙は、全体では約6割が賛成、非喫煙者では7割という結果となる一方で、喫煙率が低い20代の「全面禁煙にすべき」は半数を切っているという意外な結果が明らかとなりました。20代の喫煙率が14%であることを考えると、喫煙者、非喫煙者ともに、たばこ全面禁煙に賛成の割合は他の世代と比べて低いといえます。このような年代による「全面禁煙」に対する意識差の要因の一つとしては、「健康に対する意識」があると思われます。一般的に年代が上がるほど健康に対する意識が強くなると言われ、年代とともに全面禁煙賛成派が増えていると考えられます。
もう一つの要因としては、世代による「多様な考え方への許容性」の違いが考えられます。「色々な考え方が認められるようになるべき」という意識は若年層ほど高く、20代では5割にも上っています。
この意識は過去と比較しても40代以下の若年層で大きく伸びています。全面禁煙は「喫煙者を公の場から完全に排除する」という意味合いが強い施策だといえます。そのため、多様な考え方への許容性が高い20代には、全面禁煙のような一方的な規制ではない、喫煙者・非喫煙者のどちらの考え方もきちんと汲み取った施策を求める声が根強いのではないかという仮説が考えられます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、たばこ規制に対する議論が近年活発になっていますが、今回のように若者だけをみても、全体での傾向とは異なる意識を持っています。だからこそ、画一的な物事の見方ではなく、多様な価値観を理解した上での柔軟な視点があっても良いのではないでしょうか。