国民生活センターが公開した、「格安スマホ」購入のトラブル例

[2017/4/18 00:00]

国民生活センターが、「格安スマホ」に関するトラブルの例を公開しています。

この記事では、トラブルの事例を、そのままの形で紹介します。

事例1:問い合わせ先が電話窓口しかなく、つながりにくい

格安スマホをインターネットから契約したが、使い方や色々な不明な点を問い合わせたくても、実店舗がなく、サポートの電話窓口しかないが、何度かけても話し中でつながらない。

今までは家族や知人に聞きながら何とか利用してきたが、今後は事業者にしかわからないこともあると思う。何とかしてほしい。(60代男性)

事例2:修理期間中の代替機の貸し出しサービスがなく、スマートフォンが1カ月間利用できない

自宅の光回線を転用した際に、携帯電話もすべて同じ通信会社で統一すると、携帯電話の月額料金が割引になると聞いていたので、通信会社のホームページからデータ通信サービス、音声通話サービスがついた格安スマホのSIMカードと端末を申込んだ。

3日後に端末が届いたが、すぐに電源が入らなくなった。通信会社に連絡したら端末メーカーに連絡するよう言われた。端末メーカーは「端末を預かった上で修理に1カ月はかかり、代替機の貸し出しサービスはない」という。通信会社でも貸し出しサービスはないとのことだった。

1カ月間スマートフォンが使えないのは非常に困る。初期契約解除を申し出たところ、対象外と言われた。(30代男性)

事例3:メールアドレスの提供がなく、別会社のメールアドレスで送ったが、相手にメールが届かなかった

チラシを見て格安なスマートフォンに興味を持ち、近所の家電量販店内のブースで、担当者からケーブルテレビ会社の格安スマホ会社だと説明を受けて契約した。スマートフォンは翌日に宅配便で受け取った。

担当者から「メールをするには無料メール用アプリを利用するとよい」と教えてもらったので、妹と従妹に送ってみたが届かず、エラーだと知らせる英文が送信された。

2人とも携帯はキャリアメール以外のメールをブロックしている状態で、フィルターの設定を変更してもらう必要があった。

他の人にもメールしたいが、相手に設定変更してもらうのは手間がかかるので解約したい。(50代女性)

事例4:SIMロック解除をしないと、他社のSIMカードでスマートフォンが使えなかった

家族3人で格安スマホ会社に大手携帯電話会社から乗り換えようと思った。

3人とも3年前に購入した2世代前の機種を使っている。格安スマホ会社のホームページで、その機種が利用できるか確認したが分りにくいため、格安スマホ会社に電話で今の携帯電話会社とスマートフォンの機種を伝え、使えるかどうか尋ねたら使えると言われた。

そこで、携帯電話会社のショップで3台分のナンバーポータビリティの手続きを行った。後日、まず私のSIMカードが届いたのでスマートフォンに入れたが、「SIMが適合しない」とエラーが出てSIMロックがかかっていると分った。

携帯電話会社のショップに行くと、この機種はSIMロック解除の対象外だと言う。格安スマホ会社に苦情を言うと、私以外の2人分は受取拒否で無条件解除になったが、私の分は「解約料は免除できない。すみません」の一点張りである。担当者が間違ったことを言ったのに、解約料を取られるのは納得いかない。(40代女性)

格安スマホの場合は、SIMカードだけ契約することもできます。しかし、上の例のように、別々に購入することによるトラブルが発生する可能性があります。

事例5:インターネットで購入したスマートフォンの端末代金に未払いがあり、精算しないと修理の受付ができないと言われた

インターネットのショッピングモールに出店していた業者から、未使用品のスマートフォンの端末をクレジットカードで購入した。

格安SIM会社から購入したSIMカードを入れて使用していたが、最近、電源が勝手に落ちるようになった。修理サービスが付いていない端末だったので、元々その端末を販売していた携帯電話会社へ修理を依頼した。

ところが、この端末に端末費用の未払いがあることがわかり、修理を受けられないと言われた。(30代女性)

事例6:発送から数日で利用開始になるとは知らなかった

格安スマホ会社のサイトからSIMカードを注文したが、SIMカードが届かない。

格安スマホ会社に電話で問い合わせたところ、警察や宅配業者に申し出ることに加え、SIMカードを発送して数日で利用開始になるので、既に料金が発生していると言われた。自動で利用開始になるとは知らなかった。

サービスを利用できていないので、支払いたくない。

値段が安いのには理由がある

国民生活センターでは、格安スマホに関するトラブルを避けるために、5つのアドバイスを送っています。

  • 自分の現在の利用状況を把握した上で、ホームページやパンフレット等で格安スマホ会社が提供しているサービスを確認しましょう
  • 今まで使っていたスマートフォン等の端末を引き続き使えるかどうか確認しましょう
  • 中古端末を購入する場合、「ネットワーク利用制限」対象の端末ではないか確認しましょう
  • 格安スマホ会社の回線を利用するための手続きと、利用開始日を確認しましょう
  • トラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

格安スマホの会社は、MVMOと言って、自社では携帯電話の回線等を持っていません。

回線を持っているドコモやKDDI、ソフトバンクなどのキャリアから回線を借りて、サービスを提供しています。

回線を持っていないので設備を維持する必要がないことや、インターネット販売のみで実店舗を持たずに営業したり、提供するサービス等を限定するなどの方法で、運営コストを抑えて、消費者に比較的安価な料金でサービスを提供しています。

つまり、何かを削ることによって、コストを下げているのです。

そこを理解せずに、格安スマホに、これまでのキャリアと同じ機能とサービスを求めると満足できないでしょう。

格安スマホへの乗り換えを考えるときは、値段だけに注目せず、どうして安くなっているのか、よく理由を調べ、それが自分の使い方にとって問題にならないかどうかを考えてからにしましょう。

[シニアガイド編集部]