中小企業の大卒定年の退職金は「1,138万円」

[2017/4/25 00:00]

従業員数299人以下の中小企業を調査

東京都産業労働局労働相談情報センターが、「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)」を公開しています。

この調査は、従業員が10~299人規模の中小企業を対象にしたもので、995社が回答しています。

大卒の退職金は平均「1,138万円」

さっそく、各社の退職金の平均金額を見てみましょう。

大学を卒業し、新卒で入社して、定年退職した場合の退職金額は「1,138万円」でした。

なお、高卒では「1,082万円」、高専・短大卒では「1,030万円」です。

学歴の差を勤続年数の長さが補うので、あまり差はありません。

出典:データを基に編集部が作成

退職金制度がない会社が3割もある

退職金制度はすべての会社にあるとは限りません。

今回の調査では、「退職金制度なし」の会社は29.7%でした。ほぼ3割の会社に退職金制度がありません。

なお、退職金制度がある会社のうち、多いのは「退職一時金のみ」で、次が「退職一時金と退職年金の併用」です。

「退職年金のみ」の会社は珍しい存在です。

出典:データを基に編集部が作成

定年は「60歳」が8割

では、「定年」とは何歳を指すのでしょう。

この調査では、78%の会社が「60歳」としています。

ほとんどの場合、「定年は60歳」と考えて良いでしょう。

次が「65歳」で15%、「定年なし」が13%です。

出典:データを基に編集部が作成

なお、60歳以降は、そのままの身分で働く「継続雇用」ではなく、新たな制度で働く「再雇用制度」を採用している会社が多くなっています。

つまり、中小企業に勤めている正社員は、「60歳になったら1千万円ほどの退職一時金をもらい、その後は65歳まで契約社員などの形で再雇用されて働く」というパターンが多いことになります。

退職金は、企業による差が大きい

退職金に関して、他の調査結果と金額を比べてみましょう。

経団連による「退職金・年金に関する実態調査結果」では、60歳の大卒者が、卒業後38年間勤務した場合で「2,357万円」という調査結果が出ています。

経団連の加入企業は大手に限られているためか、今回の調査結果とは約2倍の差があります。

もう1つ、厚労省の「就労条件総合調査結果の概況」という調査では、大学卒で勤続35年以上の定年退職者の退職金は「1,567万円」でした。

こちらは、従業員30人以上の企業4,211社の集計なので、今回の調査に近い数字です。

退職金に関する3つの調査を比較すると、退職金は会社の大きさや考え方による差が大きい制度であることが分かります。

自分が勤めている会社では、どのような制度になっているのか、社員規定などで確認しておきましょう。

[シニアガイド編集部]