国家公務員の大卒定年退職金は平均「2,537万円」
人事院による退職金の調査
国家公務員の大卒定年退職金は、平均で「2,537万円」という調査結果が公開されました。
この調査は国家公務員の人事制度を司る「人事院」によるものです。
「2,537万円」のうち、「2,314万円」は退職時に一時金として受け取る「退職手当」です。
また、「223万円」は、公務員の年金制度である「共済年金」からの給付を基に、一定の方式で割り出したものです。
実例調査でも「2,500万円台」が目安
この調査では、勤続年数別の退職金の一覧も公開されました。
もっとも該当者が多い、勤続年数37年の場合で「2,546万円」、次に該当者が多い勤続年数42年で「2,486万円」となっています。
大卒で任官された国家公務員が、定年まで勤め上げた場合の退職金は、だいたい2,500万円前後とみて良いでしょう。
民間企業の退職金制度と比較しても恵まれている
国家公務員の平均「2,537万円」という定年退職金は、民間企業と比べて、どう評価すべきでしょう。
人事院の報告書では、4,493社から得たデータを基に、民間企業の退職金を「2,459万円」と算出しています。これは国家公務員よりも78万円低い水準です。
国家公務員の退職金は、民間企業の退職金よりも、約3%多いという調査結果です。
そして、「官民均衡の観点から、上記の比較結果に基づき、退職給付水準について 見直しを行うことが適切」と結論しています。
民間企業よりも国家公務員の退職金制度が優位であることを国が認めているわけです。
さらに分析すると、民間企業の年金の一時金は「1,006万円」しかありません。国家公務員の一時金「2,314万円」の半分以下です。
見かけ上の差が少なくなっているのは、企業年金の金額が「1,453万円」と大きいためですが、実は企業年金制度がある企業は調査対象の「51%」しかありません。
半分の企業は、企業年金がなく、一時金のみですし、そもそも退職金制度自体がない企業も存在します。
また、公務員の共済年金と企業年金を比較する際に、企業年金が大きめに計算されているという指摘は以前からあります。
これらの点を考慮すると、人事院の結論以上に官民の格差は大きいと言えるでしょう。
少なくとも、現在の国家公務員の退職金制度が、恵まれた制度であることは間違いありません。