「ジュニアNISA」制度開始1周年。NISAに比べて物足りない出足
1周年を迎えたジュニアNISA
「ジュニアNISA」こと、「未成年者少額投資非課税制度」が開始されて1年が経過しました。
この制度は、子供や孫の教育資金を作るために、親権者が子供の名義で口座を開いて投資を行なうものです。年間で80万円、最大5年間で400万円まで非課税で投資できます。
制度開始から1周年にあたる、2016年12月末時点のデータが公開されたので、加入状況などを見てみましょう。
口座数は8万9千口座
ジュニアNISAの口座数は「89,243」口座でした。
グラフを見ると、ちょっと伸びが鈍ってきているのが分かります。
購入額は「188億円」
ジュニアNISA口座による購入額は「188億円」でした。
投資の対象は「上場株式」が多く、次が「投資信託」です。
ジュニアNISAでは銘柄を指定した「上場株式」への投資が主流です。
NISAに比べると物足りないスタート
ジュニアNISAに先行して始まった「NISA」は4年目を迎えました。
現在は、627万口座を有し、購入額も5兆9,602億円に達しています。
同じ1周年の時点で比べても、NISAは「1兆8,258億円」の投資を集めていました。
これは、現時点のジュニアNISAの投資額「188億円」の約100倍にあたります。
理由はいろいろありますが、「ジュニアNISAの口座開設には、住民票やマイナンバーが必要で手間がかかる」という点が大きいでしょう。
また、「自分の名義で、年間120万円まで非課税となる優遇された投資口座」というNISAのわかりやすさに比べ、「子供や孫の名義で、親権者や血縁者が投資し、子供が18歳になるまで払い出しができない」というジュニアNISAは複雑な制度です。
特に、利益が出ている状態でも、子供が18歳まで払い戻しができないというのは、教育資金を作るための制度としては正しいのですが、投資を目的している個人投資家にとっては足かせと感じるでしょう。
今回の結果を受けて、口座開設手続きの簡易化や、払い出し時期の制限の解除などの制度変更が行なわれるかどうかに注目しましょう。