毎年、数万社が起業し、数万社が廃業している
創業前に見ておきたい廃業率
「定年を期に、やりたかった仕事で起業しましょう」という広告や記事を、よく見かけます。
しかし、新しく開業する会社があれば、失敗して廃業する会社もあります。
何かを始める前には、その行動に伴うリスクも見ておく必要があります。
この記事では、中小企業庁「中小企業白書」に掲載された3種類のデータから、開業する会社と廃業する会社の割合を見ていきましょう。
年間で9万社が設立され、9万社が消えている
最初に「経済センサス・事業所企業統計」を基にした開廃業率です。
ここでは、2012年から2014年にかけての、29カ月間のデータを見てみましょう。
調査期間の当初にあった会社数は「168万社」でした。
期間中に開業したのは「22万8千社」で、年平均に直すと「9万4千社」です。開業率は「5.6%」でした。
一方で、年平均で「9万6千社」が廃業しています。廃業率は「5.7%」です。
世の中にある企業の20分の1は、毎年入れ替わっている計算になります。
個人企業は、開業よりも廃業が多い
先に見たのは会社組織ですが、起業しやすいと言われる個人企業についても見てみましょう。
調査当初にあった個人企業数は「220万社」でした。
期間中に開業したのは、年平均で「8万6千社」です。開業率は「3.9%」です.
一方、廃業した個人企業は、年平均で「14万社」でした。廃業率は「6.4%」です。
個人企業の場合、起業率よりも廃業率が大きく上回っています。
他の統計を見ても、毎年3~4%は廃業している
他の調査による、開廃業率を見てみましょう。
まず、登記データからです。2013年の会社の設立登記数は、「96,659件」でした。
これを前年の会社数で割った開業率は「3.8%」でした。この数字から増加分を引いた廃業率は「3.5%」になります。
また、雇用保険からの統計では、2015年の開業率は「5.2%」、廃業率は「3.8%」でした。
こうしていくつかの数字をみてくると、起業率、廃業率とも、だいたい3%~6%であることが分かります。
どの調査を見ても、毎年数万社が開業し、それと同じか上回る企業が廃業していることが分かりました。
起業を考えるときは、失敗して廃業に追い込まれる可能性があることも、頭に入れておきましょう。