65歳以上で会社員として働くための道筋
このままこの会社で働ける可能性
定年を意識する年代の会社員で、「再就職とか面倒だし、独立する気もないし、このままこの会社で雇ってくれれば良いのに」と思っている人は多いでしょう。
しかし、会社側に雇用が義務付けられている65歳を過ぎても雇い続けてもらうのは、簡単なことではありません。
では、どういう人が、65歳以上になっても勤め続けているのでしょう。
この記事では、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の「高齢者の人事管理と人材活用の現状と課題」という2014年に行なわれた調査の結果を基にして、65歳以上で雇われている人のプロフィールを探ってみましょう。
65歳以上を雇っていない会社の方が多い
この調査には、4,203社の株式会社が回答しています。
そのうち、「勤続3年以上、役員以外の65歳以上の社員」がいる企業は「47.1%」でした。
いない企業は「47.6%」でした。
そもそも、65歳以上の社員を雇用していない企業の方が、多いのです。
平均勤続年数は「23.8年」
「65歳以上の社員」の勤続年数を見ると、平均で「23.8年」でした。
個別に見ても、「21年以上」が47%と半分近くを占めています。
長く勤めていることが、重要な要素のようです。
「50歳代では在籍」が72%
「65歳以上の社員」が、50歳代時点で在籍していたかどうかを聞いています。
勤続年数が長いことからも推定されるように、50歳代で在籍していた人が「72%」を占めています。
50歳時点で、その会社に在籍していると、65歳以上になっても雇用してもらえる可能性が出てくるようです。
役付きに出世していなくても可能性はある
では、50歳代時点で在籍していた人は、どこまで出世していたのでしょう。
「最高職位」を見ると、「次・課長相当」が1番多いのですが、次は「一般」です。
つまり、役職経験があるかどうかということは、直接には関係しないようです。
なお、「社長/役職相当」が4%と少ないのは、調査対象が「役員以外の65歳以上社員」と限定しているためでしょう。
いま、在籍している会社の評価が影響する
ここまで見てきたように、65歳以上で雇用される条件としては、勤続年数が長いことが大きな要素となっています。
少なくとも、50歳代の時点で、その会社に在籍していた人が多いようです。
では、逆に「50歳代で在籍していなかった」のに、65歳以上で雇用されている人は、どういうルートをたどっているのでしょう。
「50歳代で在籍していなかった人の採用方法」の1位は「公共職業安定所/人材銀行」でした。
公共の職業紹介機関を利用している会社が多いのは、ちょっと意外です。
2位は「親会社/関連会社」です。
やはり、子会社や関連会社への出向は多いようで、「出向・転籍」と合わせると、全体の4分の1を占めています。
3位は「取引先企業の紹介」です。
善意による紹介かもしれませんが、例えば、大手の取引先企業に言われると、断りにくい状況も想像されます。
つまり、50歳代で在籍していない会社に雇用されている場合でも、実際にはもともと在籍していた会社の影響下で雇用されている場合が多いことが分かります。
現在の会社に、直接雇われないにしても、現在の会社におけるあなたの評価が大きく影響することは間違いありません。
65歳以上においても、会社勤めを続ける希望があるならば、現在の仕事をしっかりこなして、社内における実績と評価を蓄積しておくことが第一歩となります。