消費者庁が、「リラクゼーションマッサージ」などによる事故を警告

[2017/6/1 00:00]

「法的な資格制度がない施術」による事故

消費者庁が、法的な資格制度がない医業類似行為による手技によって、脊髄損傷などの重大な事故が発生しているとして警告を発しています。

消費者庁が警告しているのは、「法的な資格制度がない施術」であり、具体的には「整体」「カイロプラクティック」「リラクゼーションマッサージ」などを指しています。

器具を使用しない手技には、「あん摩マッサージ指圧、はり、灸」と「柔道整復」がありますが、これらは資格制度が法律で定められており、国家試験に合格したものだけが施術を行なえます。

しかし、法的な資格制度がない手技では、施術を行なう際に資格が必要ありません。医学的観点から人体に危害を及ぼす可能性のある施術は禁止されていますが、その施術内容は事業者によりまちまちです。

脊髄損傷や骨折などの重症も

消費者庁には、「法的な資格制度がない施術」による事故の報告が約8年間に1,483件寄せられています。

そのうち、治療期間が1カ月以上に及ぶ重症も240件あり、全体の16%を占めています。

出典:消費者庁

事故による症状では「神経・脊髄の損傷」が最も多く20%を占めています。

以下、「擦過傷、挫傷、打撲傷」や「骨折」などが続きます。

出典:消費者庁

なお、事故が多いのは、30代~50代の女性ですが、治療期間が1カ月を超える重症は60代以上が多くなっています。

5つの事例

ここでは、「法的な資格制度がない施術」による事故の事例を5つ紹介します。


首と肩の「格安マッサージ」を受けた翌日に、おう吐と首から肩にかけての激痛が出た。病院で髄液が漏れていることが判明し、11日間入院した。(30歳代女性)


「サロン」でリンパマッサージを受けた。強力マッサージをうたっているので、施術中の痛みはそんなものだと思っていたが、ろっ骨を骨折しており全治1カ月かかった。 (20歳代女性)


あん摩マッサージ指圧師の資格がない者が施術を行なう「マッサージ店」で、施術中に感じた痛みは伝えなかったが、施術後に足が痛く歩けなくなった。翌日、医師に太ももの筋肉が切れていると診断され、回復に2カ月以上要した。 (60歳代男性)


腰痛のため、ネットで評判の高かった「カイロプラクティック」の施術を受けた。首をねじられとても痛かったので申し出たが、痛い方が効き目があると言われ、やめてくれなかった。翌日から首がとても痛くなり、整形外科でけい椎がねじられて損傷していると言われた。痛みが5カ月以上続いている。(事故発生 H27年10月 40歳代男性)


「カイロプラクティック」の施術を受けた直後に肩から指先までしびれが発生し、検査の結果「尺骨神経まひ」と診断されて手術をした。8カ月経過したが完治していない。診断した医師が因果関係をはっきり言いきれず、保険補償が受けられない。(30歳代女性)

消費者庁のアドバイス

消費者庁では「法的な資格制度がない施術」を受ける場合には、次の点に注意するよう呼びかけています。

  • 疾病がある方は施術を受ける前に医師に相談しましょう
  • 情報を見極めて、施術や施術者を慎重に選びましょう
  • 施術を受ける際は、施術者に自分の体調や希望をしっかりと伝えましょう
  • 施術を受けた後で異常を感じた場合は、すぐに施術を受けた施設や運営者に伝え、なるべく早く医師に相談しましょう
  • トラブルの解決が困難な場合は、消費生活センター等に相談しましょう
[シニアガイド編集部]