山岳遭難の死者/行方不明者の3分の2は「60歳以上」

[2018/7/7 01:33]

登山は、定年後の趣味の定番の1つとなりました。

しかし、登山シーズンには、高齢者の遭難のニュースがよく流れます。

シニア層の登山の状況を知るために、警視庁が公開した「平成29年における山岳遭難の概況」という資料を基に紹介します。

昨年に続き、最悪の状況が続く

2017年の山岳遭難は、2,583件でした。

これは、統計の残る1961年以降で最も多い件数です。

遭難者数は3,111人、負傷者数は1,208人、死者/行方不明者数は354人で、いずれも昨年より増えました。

出典:警察庁

遭難者の2分の1は「60歳以上」

高齢者の遭難は多く、遭難者のうち「60歳以上」が占める割合は「51.0%」を占めています。

つまり、登山における遭難者の2人に1人は、60歳以上です。

とくに「60代」は741人で一番多く、次は「70代」で669人です。

出典:データを基に編集部が作成

死者/行方不明者の3分の2は「60歳以上」

死者/行方不明者では、60歳以上の割合がさらに増え、「64.7%」を占めています。

つまり、登山による死者/行方不明者の3分の2は、60歳以上です。

特に60代は111人に達しています。

出典:データを基に編集部が作成

遭難の原因は「道迷い」「滑落」「転倒」

遭難の原因を見ると、「道迷い」が多く、「滑落」と「転倒」が続きます。

この3つで、遭難原因の70%以上を占めています。

出典:データを基に編集部が作成

山岳遭難の防止策

警察庁では、登山者に対して、次の5項目をアドバイスしています。

  • 登山計画の作成
    気象条件、体力、体調、登山の経験等に見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備、食料等に配意して、余裕のある、安全な登山計画を立てる。 計画を立てるとき、滑落等の危険箇所を事前によく調べる。単独登山はできるだけ避け、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。
  • 登山計画書の提出
    作成した登山計画書は、家庭や職場、登山口の登山届ポストなどに提出しておく。
  • 道迷い防止
    地図、コンパス等を有効に活用して、常に、自分の位置を確認するよう心掛ける。
  • 滑落・転落防止
    滑りにくい登山靴、ストック等の装備を有効に使用するとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心掛ける。
  • 的確な状況判断
    視界不良・体調不良時等には、道迷い、滑落等のおそれがあることから、状況を的確に判断して早めに登山を中止するよう努める。

登山は老若男女が楽しめる趣味です。自分の体力にあった山を目指しましょう。

また、山は何度でもチャレンジを待っていてくれます。無理をせずに、安全に帰宅することを心がけましょう。

【お知らせ】この記事は2018年7月7日に内容を更新しました。

[シニアガイド編集部]