75歳以上の高齢運転者による死亡事故の特徴
高齢運転者による交通事故の状況
警察庁が公開した資料に基づいて、75歳以上の高齢運転者による死亡事故の状況を紹介します。
単独の事故が多い
75歳以上の運転者による死亡事故は、「車両単独事故」の割合が高く、死亡事故全体の39.7%を占めています。
事故類型としては、車線を外れて物などに衝突する「工作物衝突」が最も多く、「出会い頭衝突」「正面衝突」「路外逸脱」なども多くなっています。
「昼間」の死亡事故が多い
75歳未満の運転者による死亡事故の半数以上が「夜間」に発生しているのに対し、75歳以上の運転者による死亡事故の81%が「昼間」に発生しています。
自宅周辺の一般道路の事故が多い
75歳以上の運転者による死亡事故の98%が「一般道路」で発生しています。
「逆走」による正面衝突事故のイメージが強い「高速道路」の事故は、実は2%しかありません。
また、75歳以上の運転者による死亡事故の72.5%は、運転者の自宅の市区町村で起きています。
つまり、自宅周辺の一般道路での事故が多くなっています。
操作ミスによる事故が多い
75歳以上の運転者による死亡事故の原因は、「操作不適」によるものが一番多くなっています。
次いで、漫然運転等の「内在的前方不注意」、そして「安全不確認」の順です。
「操作不適」のうち、「ブレーキとアクセルの踏み間違え」による死亡事故は、75歳未満では死亡事故全体の0.7%ですが、75歳以上では5.9%と8倍以上に増えます。
また、「ブレーキとアクセルの踏み間違え」による死亡事故の半数は、75歳以上の運転者によって起きています。
過失が重い場合が多い
75歳以上の運転者による死亡事故における死者数の内訳をみると、全体の39.2%が「単独事故」による死者であり、75歳未満の運転者による死亡事故に比べて高い割合を占めている。
また、当事者の種類別に見ると、過失が重い「第1当事者」の死者数が多く59.3%を占めています。
つまり、高齢者自身が事故の原因となって、死亡する例が多いことが分かります。
認知症以外にも複数の原因
公開された資料では、高齢者の運転リスクについて、「認知症」「視野障害」「その他の加齢に伴う身体機能の低下」の3つに整理しています。
「認知症」については、改正道路交通法で対策が強化されましたが、今後は、その実施方法が課題となります。
また、視野が狭くなる「視野障害」については、これから科学的な検証や知識の普及が必要とされています。
そして、「その他の加齢に伴う身体機能の低下」では、操作ミスや、加齢に伴う反射神経の鈍化や筋力の衰えによるブレーキの踏み遅れ、頭部運動を伴う安全確認の不足などが指摘されています。
これらの課題に対しては、今回の資料でもさまざまな提案がされており、施策の具体化が期待されます。